会長よりご挨拶
令和5年6月に開催されたKABSE総会において、松田泰治会長の後を受け、新会長に就任いたしました。今年で40周年を迎える歴史と伝統ある九州橋梁・構造工学研究会(KABSE)は、九州のみならず全国的な構造・材料分野の代表的な産官学連携の場として機能するように、会長として組織運営を行って参りたいと思いますので、会員をはじめ皆様の御支援・御協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
KABSEには、設立当初から、探究心に溢れる若手の研究者・技術者が集い、相互の研究成果を持ち寄り討議する分科会が設けられ、数多くの成果報告が行われてきました。過去40年の分科会活動を振り返ると、設立当初の10年(第1期)は、本四架橋に代表される日本のインフラ整備の全盛期であり、長大橋の架橋技術や新材料・施工に関する研究活動が精力的に行われました。次の10年(第2期)は、1995年に発生した阪神・淡路大震災で日本の耐震設計の根幹が大きく揺らいだことで、耐震設計・性能照査法に関する研究活動がKABSEにおいても数多く行われました。第3期には、高度成長期に建設された構造物の劣化損傷が顕在化し始めたことで、劣化した構造物の診断や補修補強工法に関する研究が活発に行われました。第4期は、2016年に起こった熊本地震、線状降水帯による橋梁流失が生じた2020年球磨川水害など、九州地域で生じた大災害に対峙し、同じような被災を繰り返さないための研究が行われております。
また、「ツタエルドボク」など全国に先駆けた一般の方を対象とした社会インフラに関する啓蒙活動や自治体を支援する橋梁点検講習会なども、KABSEの新しい活動として定着してきており、土木構造技術者だけの研究会でなく、社会インフラをキーワードとする有益なプラットフォームへと発展してきております。
時代が平成から令和に移り、世界はより多くの困難を抱えております。これまで、豊かさと利便性を追求してテクノロジーは進歩してきましたが、今後は持続可能な成長(SDGs)が求められています。土木分野でも、どのようにして脱炭素に貢献できるか問われており、それと同時にDXによる省力化は、人口減少時代を迎えた我が国においては急務となっております。
KABSEの特長は、産・官・学の異なる立場の会員が率直な意見を交わせる自由な環境があり、自らの意思で能力向上のために参加できる研究分科会・講習会などの学びの場が九州の地で得られることにあります。今後のKABSEの活動として、世の中が抱える困難な課題の解決に向けて、失敗を恐れずに技術変革を先取りした取り組みを会員の皆様には行っていただきたいと思います。皆様が益々活躍されますことを祈念いたしております。
会長
九州大学 園田佳巨
(R05~)
小史
- 昭和58年11月
- 九州橋梁・構造工学研究会設立
- 平成5年5月
- 第11回総会・10周年記念行事
- 平成10年4月
- 専任事務局開設
- 平成15年6月
- 第21回総会
- 平成15年11月
- 20周年記念行事
- 平成21年6月
- 一般社団法人 九州橋梁・構造工学研究会設立
- 平成25年11月
- 30周年記念行事
歴代会長
昭和58年度~昭和60年度 | 九州大学教授 | 小坪清真 |
昭和61年度~平成元年度 | 熊本大学教授 | 三池亮次 |
平成2年度~平成5年度 | 九州工業大学教授 | 渡辺 明 |
平成6年度~平成7年度 | 北九州職業能力開発短期大学校長 | 堤 一 |
平成8年度~平成9年度 | 九州大学教授 | 太田俊昭 |
平成10年度~平成11年度 | 九州大学教授 | 彦坂 熙 |
平成12年度~平成13年度 | 熊本大学教授 | 﨑元達郎 |
平成14年度~平成15年度 | 九州大学教授 | 松下博通 |
平成16年度~平成17年度 | 九州共立大学教授 | 烏野 清 |
平成18年度~平成19年度 | 九州工業大学教授 | 久保喜延 |
平成20年度~平成21年度(6月迄) | 九州大学教授 | 大塚久哲 |
一般社団法人 九州橋梁・構造工学研究会設立後
平成21年度~平成22年度 | 九州大学教授 | 大塚久哲 |
平成23年度~平成24年度 | 熊本大学教授 | 大津政康 |
平成25年度~平成26年度 | 九州共立大学教授 | 牧角龍憲 |
平成27年度~平成29年度 | 九州大学教授 | 日野伸一 |
平成30年度~令和元年度 | 九州工業大学教授 | 永瀬英生 |
令和2年度~令和4年度 | 九州大学教授 | 松田泰治 |
令和5年度~ | 九州大学教授 | 園田佳巨 |
定款
役員・顧問及び相談役名簿
運営委員会規定
特別委員会規定
分科会規定
運営委員会委員名簿