松浦4号橋(仮称)

 西九州自動車道は高規格幹線道路網の一環として計画された道路であり、福岡市を起点とし、唐津市、伊万里市、松浦市、佐世保市を経由して武雄市に至る延長約140kmの自動車専用道路で、その一部を構成する路線である松浦佐々道路(延長約19.1km)は長崎県北部に位置し、九州北西部の広域的な連携を図り地域の活性化に大きく寄与するとともに、北松地域唯一の幹線道路である国道204号の代替路線としての機能を有しています。

 松浦佐々道路の松浦ICから平戸IC間に位置する松浦4号橋(A1-P15)(仮称)は松浦市街地北部の海沿いを通り、2級河川志佐川及び市道等を横断する橋梁です。A1-P5間における架設工法はクレーン架設であり、200tクレーン2台を用いて相吊り架設を行いました。P5-P15間における架設工法は松浦IC側からの架設桁架設でしたが、架設場所横に国道204号が通っており、また周辺に民家や商業施設があったため安全を考慮して二組桁架設工法を採用し、主桁の転倒転落防止対策を強化しました。このように工事期間中は周辺住民や施設への配慮を行い、現場では作業員の安全を第一に考えて施工し、令和5年10月に完成しました。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名一般国道497号
所在地長崎県松浦市志佐町地先
橋長524.5m
構造形式A1-P5間:PC5径間連結ポストテンションT桁橋
P5-P9間:PC4径間連結ポストテンションT桁橋
P9-P15間:PC3径間連結ポストテンションT桁橋×2蓮
設計荷重B活荷重
支間長最大38.9m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

諫早IC橋

 一般県道諫早外環状線は、諫早市北部の破籠井町の国道34号を起点に諫早市街地の東側から南側を環状し、長崎自動車道の諫早ICへと接続する道路です。

 このうち、「諫早インター工区」は諫早市街地の交通混雑緩和だけでなく、島原半島地域と県央地域とを連結する地域高規格道路「島原道路」の一部を担っており、両地域間の所要時間の短縮、交流促進と連携強化に寄与するものです。

 当橋梁は供用中の諫早ICに接続し、かつ長崎自動車道や国道34号、JR長崎本線の上空を架橋するため、各管理者との調整及び工程管理に力を尽くしました。 

 また、高速道路や国道の上空を架設する際は夜間通行止めを行い、それぞれ1日で架設を行うなど、安全に配慮しかつ地域への影響が最小限となるよう上部工架設を行いました。

※写真提供:長崎県

橋梁概要

路線名一般県道諫早外環状線
所在地長崎県諫早市貝津町
橋長(合流橋)150.6m
(分離橋)ON橋 197.4m、OFF橋189.1m
構造形式(合流橋)鋼4径間連続非合成箱桁橋
(分離橋)ON橋 鋼5径間連続非合成箱桁
     OFF橋(AF1-PF1) 鋼単純非合成箱桁橋
     OFF橋(PF1-PF2) 単純充実合成床版桁
     OFF橋(PF2-P6) 鋼3径間連続非合成箱桁
設計荷重B活荷重
支間長(合流橋)最大50.3m
(分離橋)ON橋(AN1-PN1)最大51.0m
     OFF橋(AF1-PF1) 最大60.35m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第11号発行時(平成31年3月)の情報です。

日見夢大橋(Ⅱ期線)

 NEXCO西日本では、E34長崎自動車道 長崎多良見IC~長崎IC間11.3kmの四車線化事業を行っています。四車線化事業は、供用中の暫定2車線から完成四車線へ拡幅する事業です。この整備により、安全性・走行性の向上、災害時の代替機能の強化など地域の発展に貢献すると期待されます。長崎多良見IC~長崎芒塚IC間の8.3kmについては令和元年6月28日に四車線化運用を開始しています。

 長崎多良見IC~長崎芒塚IC間に位置する日見夢大橋は、橋長373.5mのPC3径間連続波型鋼板ウェブエクストラドーズド橋です。国内において、波形鋼板ウェブとエクストラドーズドを組み合わせたPC橋梁は本橋を含めて6橋しかなく、景観に配慮した非常に珍しい橋梁です。 
  
 本橋は特殊橋梁かつⅠ期線との並列橋であるため風の影響に対する安全性を検討する必要があり、大型模型を用いた風洞実験を行い、安全性を確認し工事を進めました。

 また、施工においては隣接する中尾トンネル工事と施工ヤードが競合していたことから綿密に調整を行い、工程に支障を及ぼすことなく施工を完了しました。

 安全面においても国道34号及び県道116号の上空にて張出架設を行う際、夜間作業に切替え、張出時に一般道の一時通行止め規制を行うことで第三者への安全確保に尽力しました。

※写真提供:西日本高速道路(株)

橋梁概要

路線名E34 長崎自動車道
所在地長崎県長崎市芒塚町
橋長373.5m
構造形式PC3径間連続波型鋼板ウェブエクストラドーズド橋
設計荷重B活荷重
支間長最大182m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です。

左底高架橋

 一般県道奥ノ平時津線(時津工区)は、長崎市と佐世保市を1時間以内で結ぶことを目指して整備を進めている高規格道路「西彼杵道路」の一部区間です。並行する一般国道206号は交通混雑が著しく交通事故も多発しており、当工区の整備により渋滞緩和を図ることで交通事故減少や物流機能強化などが期待されています。

 「左底(さそこ)高架橋」は、橋長108.8m、幅員7.0(12.0)m、最大支間長41.8mからなる鋼3径間連続非合成鈑桁橋です。

 本橋の架設はトラッククレーン・ベント架設により実施しており、架橋地点上空に高圧線があるためレーザーによる警報監視システムを用いて上空の状況を把握しながら安全に施工することに努めました。また、隣接する町道の交通量が多いことから一般交通の影響を最小限に抑えるため、全面通行止めによる夜間施工を行ないました。

 本橋は令和3年10月末に床版工まで完了しており、令和4年度の供用に向けて橋面及び周辺の道路整備を進めています。

※写真提供:長崎県

橋梁概要

路線名「西彼杵道路」一般県道奥ノ平時津線(時津工区)
所在地長崎県西彼杵郡時津町左底郷
橋長108.8m
構造形式鋼3径間連続非合成鈑桁
設計荷重B活荷重
支間長最大41.8m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

野田高架橋

 一般県道奥ノ平時津線(時津工区)は長崎市と佐世保市を1時間以内で結ぶ高規格道路「西彼杵道路」の一部区間であり、並行する一般国道206号の交通渋滞及び交通事故が多発していることから渋滞緩和を図ることで物流機能強化や交通事故減少などが期待されています。

 「野田高架橋」は、橋長190.0m、幅員7.0(12.0)m、最大支間長89.0mのPC3径間ラーメン箱桁橋です。

 本橋の張出架設工法による架設にあたっては、縦断勾配が床板上で6%と大きく張出架設時に架設機の左右のバランスが崩れ、逸走や脱線等が生じる恐れがあったことから、架設機に調整レールを増設することにより安全な施工に努めました。

 本橋については令和4年10月末に床板工まで完了しており、現在開通に向けて橋面の施工を進めています。引き続き、本工区の令和4年度の供用に向けて周辺の道路整備を進めていきます。

※写真提供:長崎県

橋梁概要

路線名一般県道奥ノ平時津線(時津工区)
所在地長崎県西彼杵郡時津町野田郷
橋長190.0m
構造形式PC3径間ラーメン箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大89.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第14号発行時(令和5年3月)の情報です。

日見夢大橋

 日見夢大橋は、平成16年3月27日に開通した長崎自動車道長崎IC~長崎多良見IC間の長崎市芒塚町に位置し、一般国道34号、同日見バイパスを横過して長崎芒塚ICに接続しています。周辺の地形は、東に橘湾を望むなだらかな丘陵地が続き、他の三方は急峻な山地に囲まれた眺望景観の美しい場所で、歴史国道に認定された長崎街道に近接しており、その一方で、昭和57年の長崎大水害において、大規模な土砂災害による甚大な被害が発生した場所でもあります。

 このような場所に位置する本橋は、当時の水害における土石流流下範囲外でかつ国道を外した箇所に橋脚を必要とした結果、全長365m、最大支間長180mの3径間のPCエクストラドーズド橋が選定されました。更に、品質管理や維持管理を考慮した全外ケーブル構造への見直しを行ったところ、PCケーブル定着体及び偏向部の追加により上部工重量が増加したことから、従来のコンクリートウェブに替わり軽量化が図れる波形鋼板ウェブを採用しました。この結果、世界で初めてPCエクストラドーズド橋に波形鋼板ウェブを採用した橋梁となりました。

 この新しい橋梁形式の採用にあたり、斜材定着部の鋼製ダイヤフラムや波形鋼板ウェブの安全性について、実橋1/2モデル実験や風洞実験により確認・検証を行うとともに、施工においても、超大型特殊ワーゲンによるブロック数の長大化・低減化や主塔定着部の鋼殻構造による施工省力化により、国道上空での作業時間の短縮が図られ、ワーゲン設置から床版閉合まで約12ヶ月(コンクリートウェブの約3分の2)という短期間で無事完了することが出来ました。

 日見夢大橋は、エクストラドーズド橋の独特の外観及び波形鋼板ウェブによる低い桁高、曲線を多用した橋脚など、周辺の景観や歴史、自然との調和を図りつつ、また、長崎の玄関口としてのランドマークとして、地域に末永く親しまれることを希望しています。

橋梁概要

路線名長崎自動車道
所在地長崎県長崎市芒塚町
橋長365m
構造形式3径間連続波形鋼板エクストラドーズドPC箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大180.0m

所在地

片峰橋

 主要地方道野母崎宿線は長崎半島の東側を通り、旧野母崎町から長崎市宿町を結ぶ地域の生活、産業、観光を支えている延長約43kmの路線です。片峰橋はその路線の中で長崎市飯香浦町に位置し、幅員が狭小で線形も悪く交通に支障をきたしていた区間において、円滑な交通の確保や交通安全の向上を目的とし整備を行った橋長180m、最大支間長43.6m、有効幅員9.0mの橋梁です。

 本橋は沿岸部の谷部にある集落付近に架かる橋梁であるため、景観・維持管理・経済性等を考慮し、コスト縮減も図れるPC4径間連結ボステンT桁(少主桁)を採用。橋脚形式については維持管理しやすい張出橋脚形式とし、柱形状は矩形断面を採用しています。また、高橋脚のため経済性、構造性に優れる中空断面を採用しコスト縮減を図っています。

 施工については、平成22年度に下部工に着手。平成24年度からは上部工に着手し、平成25年度に完成しました。上部工は架設桁架設工法により施工を行いました。

橋梁概要

路線名主要地方道野母崎宿線
所在地長崎県長崎市飯香浦町
橋長180.0m
構造形式PC4径間連結ポステンT桁(少主桁)橋
設計荷重B活荷重
支間長最大43.6m

所在地

真申川橋

 真申川橋は高規格幹線道路網の一環として計画された西九州自動車道の一部である佐々佐世保道路(長崎県北松浦郡佐々町~同県佐世保市)に建設されたものです。

 佐々佐世保道路は国土交通省長崎河川国道事務所で事業を進めており、平成22年3月20日には相浦中里IC~佐世保中央IC間(L=5.0km)が供用を開始しています。長崎県北部の都市を結ぶことで、地域経済・産業の活性化と発展に寄与でき、また国道204号や国道35号等、既存の道路の混雑が緩和され、交通安全の確保に寄与することが期待されます。

 本橋は佐々IC~相浦中里IC間(L=34.0km)にあり、橋長365m、最大支間長100mのPC2径間+PC3径間連続ラーメン箱桁橋で、国道204号(16,152台/日)、佐世保市道田原棚方線 (2,741台/日)及び普通河川真申川を跨いでおり、佐々佐世保道路において最も支間長の長い橋梁となっています。

 P1橋脚、P4橋脚においては斜面上に設置されるため、施工性、経済性、周辺への影響等を検討し基礎工に大口径深礎(小8.5m)を採用しています。

 上部工架設作業にあたっては、移動作業車、資材、仮設材の落下からの第三者への安全確保に配慮が求められ、移動作業車の確実な落下防止対策や、資材の落下防止のため足場を全面メッシュシートで覆う等、安全対策に細心の注意を払い施工を行いました。更に国道204号上での中央閉合にあたっては、交通への影響にも配慮し、吊り足場による作業ではなく移動作業車を用いて行い、平成22年7月に完成しました。

橋梁概要

路線名西九州自動車道佐々佐世保道路
所在地長崎県佐世保市下本山町
橋長365.0m(143.0m + 222.0m)
構造形式PC2径間+PC3径間連続ラーメン箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長71.5m+71.5m、61.0m+100.0m+61.0m

所在地