日見夢大橋

 日見夢大橋は、平成16年3月27日に開通した長崎自動車道長崎IC~長崎多良見IC間の長崎市芒塚町に位置し、一般国道34号、同日見バイパスを横過して長崎芒塚ICに接続しています。周辺の地形は、東に橘湾を望むなだらかな丘陵地が続き、他の三方は急峻な山地に囲まれた眺望景観の美しい場所で、歴史国道に認定された長崎街道に近接しており、その一方で、昭和57年の長崎大水害において、大規模な土砂災害による甚大な被害が発生した場所でもあります。

 このような場所に位置する本橋は、当時の水害における土石流流下範囲外でかつ国道を外した箇所に橋脚を必要とした結果、全長365m、最大支間長180mの3径間のPCエクストラドーズド橋が選定されました。更に、品質管理や維持管理を考慮した全外ケーブル構造への見直しを行ったところ、PCケーブル定着体及び偏向部の追加により上部工重量が増加したことから、従来のコンクリートウェブに替わり軽量化が図れる波形鋼板ウェブを採用しました。この結果、世界で初めてPCエクストラドーズド橋に波形鋼板ウェブを採用した橋梁となりました。

 この新しい橋梁形式の採用にあたり、斜材定着部の鋼製ダイヤフラムや波形鋼板ウェブの安全性について、実橋1/2モデル実験や風洞実験により確認・検証を行うとともに、施工においても、超大型特殊ワーゲンによるブロック数の長大化・低減化や主塔定着部の鋼殻構造による施工省力化により、国道上空での作業時間の短縮が図られ、ワーゲン設置から床版閉合まで約12ヶ月(コンクリートウェブの約3分の2)という短期間で無事完了することが出来ました。

 日見夢大橋は、エクストラドーズド橋の独特の外観及び波形鋼板ウェブによる低い桁高、曲線を多用した橋脚など、周辺の景観や歴史、自然との調和を図りつつ、また、長崎の玄関口としてのランドマークとして、地域に末永く親しまれることを希望しています。

橋梁概要

路線名長崎自動車道
所在地長崎県長崎市芒塚町
橋長365m
構造形式3径間連続波形鋼板エクストラドーズドPC箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大180.0m

所在地

片峰橋

 主要地方道野母崎宿線は、長崎半島の東側を通り、旧野母崎町から長崎市宿町を結ぶ、地域の生活、産業、観光を支えている延長約43kmの路線です。片峰橋は、その路線の中で長崎市飯香浦町に位置し、幅員が狭小で線形も悪く交通に支障をきたしていた区間において、円滑な交通の確保や交通安全の向上を目的とし整備を行った橋長180m、最大支間長43.6m、有効幅員9.0mの橋梁です。本橋は、沿岸部の谷部にある集落付近に架かる橋梁であるため、景観・維持管理・経済性等を考慮し、コスト縮減も図れるPC4径間連結ボステンT桁(少主桁)を採用。橋脚形式については、維持管理しやすい張出橋脚形式とし、柱形状は矩形断面を採用しています。また、高橋脚のため経済性、構造性に優れる中空断面を採用しコスト縮減を図っています。施工については、平成22年度に下部工に着手。平成24年度からは、上部工に着手し、平成25年度に完成しました。上部工は、架設桁架設工法により施工を行いました。

橋梁概要

路線名主要地方道野母崎宿線
所在地長崎県長崎市飯香浦町
橋長180.0m
構造形式PC4径間連結ポステンT桁(少主桁)橋
設計荷重B活荷重
支間長最大43.6m

所在地

真申川橋

 真申川橋は高規格幹線道路網の一環として計画された西九州自動車道の一部である佐々佐世保道路(長崎県北松浦郡佐々町~同県佐世保市)に建設されたものです。

 佐々佐世保道路は国土交通省長崎河川国道事務所で事業を進めており、平成22年3月20日には相浦中里IC~佐世保中央IC間(L=5.0km)が供用を開始しています。長崎県北部の都市を結ぶことで、地域経済・産業の活性化と発展に寄与でき、また国道204号や国道35号等、既存の道路の混雑が緩和され、交通安全の確保に寄与することが期待されます。

本橋は佐々IC~相浦中里IC間(L=34.0km)にあり、橋長365m、最大支間長100mのPC2径間+PC3径間連続ラーメン箱桁橋で、国道204号(16,152台/日)、佐世保市道田原棚方線 (2,741台/日)及び普通河川真申川を跨いでおり、佐々佐世保道路において最も支間長の長い橋梁となっています。

P1橋脚、P4橋脚においては斜面上に設置されるため、施工性、経済性、周辺への影響等を検討し基礎工に大口径深礎(小8.5m)を採用しています。

上部工架設作業にあたっては、移動作業車、資材、仮設材の落下からの第三者への安全確保に配慮が求められ、移動作業車の確実な落下防止対策や、資材の落下防止のため足場を全面メッシュシートで覆う等、安全対策に細心の注意を払い施工を行いました。更に国道204号上での中央閉合にあたっては、交通への影響にも配慮し、吊り足場による作業ではなく移動作業車を用いて行い、平成22年7月に完成しました。

橋梁概要

路線名西九州自動車道佐々佐世保道路
所在地長崎県佐世保市下本山町
橋長365.0m(143.0m + 222.0m)
構造形式PC2径間+PC3径間連続ラーメン箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長71.5m+71.5m、61.0m+100.0m+61.0m

所在地