宝満川橋(上下線)

 NEXCO西日本が管理する宝満川橋(上下線)は、九州を南北に貫く九州自動車道のうち特に交通量の多い北部九州区間に分類される鳥栖JCT~久留米IC間に位置し、日平均断面交通量が70,000台を超え、現況6車線を有する高速道路本線橋であり、九州北部地域と南部地域を繋ぐ重要な役割を担っています。

 本橋は昭和48年に供用開始し、RC床版において劣化が進行したため、令和5年1月~11月により耐久性の高いプレキャストPC床版に取替えを行いました。

 従来の対面通行規制では交通混雑期において渋滞発生が予想されたことや、警察協議において九州自動車道の重交通区間での規制となるため、渡り線や対面通行が生じない施工方法を要望されたことから、詳細設計において1車線終日車線規制による3分割施工を採用したことにより、当初計画していた対面通行規制から21か月短縮させました。また、床版撤去架設の実施にあたり、1車線規制幅員内で行う必要があったことから門型クレーンを採用し、プレキャストPC床版間詰部には圧縮強度180N/mm2の超高強度繊維補強コンクリートを用いたスリムファスナー工法を採用し、品質向上のみならず現場作業量の削減を図りました。

 NEXCO西日本では本橋を含む高速道路リニューアルを実施しております。交通規制に伴う社会的な影響をできる限り軽減するための工夫を継続的に行い、お客様への安全・安心な走行確保に尽力します。

※写真提供:西日本高速道路(株) 九州支社

橋梁概要

路線名E3 九州自動車道
所在地福岡県小郡市福童
橋長154.7m
構造形式鋼3径間連続非合成鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大57.5m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

若戸大橋

 若戸大橋は当時の日本道路公団が昭和33年に建設に着手し、昭和37年9月に一般有料道路として供用開始されました。主塔の高さは海面から約84m、桁下高は満潮時の大型貨物船の出入りに備え40mを確保するなど建設当時は「東洋一の夢の吊橋」と呼ばれ、日本の吊橋の先駆的な役割を果たしてきました。

 平成2年に交通量の増大に対応するため4車線へ拡幅され、日本道路公団の民営化に伴い平成18年度から北九州市道路公社が有料道路として管理してきました。

 供用開始から50年が経過した平成24年に、主ケーブルのラッピングワイヤを開放した内部調査やハンガーロープの引張試験等の各種調査・試験が行なわれ、その結果若戸大橋のケーブル類は概ね健全であり、今後の腐食の進行も緩やかであり問題ないことが判明しました。

 平成30年12月1日からは北九州市が管理を引き継ぎ、無料化を行うとともにライトアップも開始しました。「日本新三大夜景都市」として認定された北九州市の新たな夜景観光のシンボルが誕生し、夜型観光や周遊型観光に大きな魅力が加わったことで観光客増加が期待されています。

 今後も長期にわたり良好な健全性が保てるよう、適正な維持管理に努めていきます。

※写真提供:北九州市

橋梁概要

路線名一般国道199号
所在地北九州市戸畑区川代~若松区本町
橋長約2,100m(吊橋部627.0m)
構造形式トラス補剛吊橋
設計荷重TL-20
支間長最大367.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第11号発行時(平成31年3月)の情報です。

筑後川橋(仮称)

 有明海沿岸道路は、重要港湾三池港、九州佐賀国際空港などの広域交通拠点と有明海沿岸地域の都市群を連携するとともに、一般国道208号の交通混雑の緩和および交通安全の確保を目的とする地域高規格道路で、福岡県内区間の約8割にあたる23.8kmを暫定2車線で開通しており、令和2年度の大川東IC~大野島IC間(3.7km)開通に向け工事を進めているところです。 

 大川東IC~大野島ICに位置する筑後川橋(仮称)は、1本のアーチリブが支点上で2本に分岐する2連のアーチ橋で日本初の橋梁形式を採用しており、九州最大の河川である筑後川を跨ぐ橋長450m、最大支間長170mの長大橋です。 

 本橋は筑後川の広々とした景観の中に位置し、周辺には地域のシンボルである国指定重要文化財筑後川昇開橋や土木遺産デ・レイケ導流堤などの重要文化財が存在することから、「デ・レイケ導流堤や筑後川昇開橋と共に筑後の水文化を継承する橋」をコンセプトに橋梁の色彩は筑後川の夕日に美しく染まる色彩となるよう「淡い桜色」とし、吊り材は大川市の伝統工芸である「大川組子」を表現したクロス配置を採用しています。

 本橋は令和2年3月末に橋体部分の施工が完了し、開通に向けて舗装等の橋面部の施工を鋭意推進して参ります。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名有明海沿岸道路
所在地福岡県大川市小保~大野島
橋長450.0m
構造形式鋼4径間連続(2連)単弦中路アーチ橋
設計荷重B活荷重
支間長最大170.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です

新砂津大橋

 一般国道199号は、福岡県北九州市門司区を起点として若戸大橋にて洞海湾を渡り、八幡西区に至る北九州市の東西を結ぶ重要な幹線道路です。

 当該路線は約37,000台/日と交通量が多く、北九州市の中心市街地である小倉駅付近において幅員が狭く車線数が減少し、線形とも相まってボトルネックの状態になっており慢性的な渋滞や交通事故が発生していました。

 これらの改善を図り、安全で円滑な交通の確保を目的として平成20年度から小倉北区の浅野二丁目から末広一丁目までの約670m区間においてバイパス化に着手し、令和2年3月に完成・供用開始しました。

 新砂津大橋は本バイパス区間に流れる2級河川砂津川を渡河する新設橋梁で、橋長は70.2m、上部工は2径間連続鋼床版鈑桁であり、トラッククレーンによる架設工法を採用しました。

※写真提供:北九州市

橋梁概要

路線名一般国道199号(砂津バイパス)
所在地福岡県北九州市小倉北区浅野二丁目
橋長70.2m
構造形式2径間連続鋼床版鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大37.2m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です。

荒津大橋

 荒津大橋は、福岡市中央区の那の津三丁目と荒津一丁目の間の博多漁港に架かる斜張橋です。1987年(昭和62年)に完成し、1988年(昭和63年)10月に開通しました。

 福岡市のランドマークのような存在となっており、多くの人の目を楽しませています。1989年(平成元年)には第3回福岡都市景観賞を受賞しました。

 断面交通量は約5.1万台/日(年間18,606,189台、2020年度実績)であり、九州・福岡都市圏の交通や物流にとって重要な役割を果たしており、欠かせない存在となっています。

 しかし、そのような荒津大橋も建設から34年が経過していることに加え、絶え間なく吹き付ける潮風の影響で鋼製構造物には徐々にさびが発生し、劣化が進行しています。このような環境の中、福岡北九州高速道路公社では道路法が2016年に定期点検(1回/5年)を義務づける前から独自に要領を定め、点検を行ってきました。ケーブルは内部の状況まで把握できるカメラ付きの自走点検装置を使用し、主塔はロープを使って作業員が目視点検しています。

 このような過酷な状況下における点検によって重大な欠陥が生じる前に損傷を発見し、早期に補修することで利用者の方が安全で安心して通行できるように日々の維持管理に努めています。

※写真提供:福岡北九州高速道路公社

橋梁概要

路線名福岡高速 1号線
所在地福岡市中央区の那の津三丁目~荒津一丁目
橋長345.0m
構造形式3径間連続斜張橋
設計荷重B活荷重
支間長最大185.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

神代橋

 主要地方道久留米筑紫野線は久留米市の国道322号を起点とし、筑紫野市の一般県道福岡日田線に至る延長約22kmの路線で、筑紫野市から古賀市を結ぶ主要地方道筑紫野古賀線と一体となって久留米市と福岡都市圏を結ぶ幹線道路です。

 本路線のうち、一級河川筑後川に架かる『神代橋』は旧橋が昭和15年に架設された老朽橋で幅員が狭く、特に大型車の通行に支障をきたしていることから、交通渋滞の緩和や安全性の向上を目的として本橋梁の架換を含む延長2.0kmのバイパス整備を行い、平成30年3月に開通しました。

 本橋梁は橋長390.2mの5径間連続PC箱桁橋で、上部工は片持ち架設工法により架設を行いました。本橋梁は河川内での施工となる厳しい施工条件の中、関係機関と協議を行いながら請負業者の創意工夫により出水期中の施工も可能とすることで効率的な架設を行うことができました。

 また、親柱のデザインについては久留米市の歴史・文化をイメージしたデザインとしています。歴史については神代橋の由来となっている「神代浮橋」の逸話をモチーフに筑後川の流れを表現しました。文化については左岸側の親柱には久留米絣の文様やクルメツツジを彫り込んで親しみのある地域性を表現し、右岸側の親柱には春の到来を告げる梅の花や実りの秋に豊かに咲き誇るコスモスを筑後川の雄大な流れの文様に表現しました。

※写真提供:福岡県

橋梁概要

路線名主要地方道 久留米筑紫野線
所在地福岡県久留米市山川神代~久留米市北野町
橋長390.2m
構造形式5径間連続PC箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大88.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第14号発行時(令和5年3月)の情報です。

苅田若久高架橋

 『苅田若久高架橋』は、北九州空港と東九州自動車道を結ぶ「新北九州空港線」で整備を進めている県道と町道の上を越える跨道橋です。

 本橋梁を整備している一般県道「新北九州空港線」は、「北九州空港」と東九州自動車道「苅田北九州空港インターチェンジ」を連絡する唯一の路線です。ユニ・チャーム・プロダクツやトヨタ自動車九州などが立地する周辺の工業団地、また重要港湾「苅田港」へのアクセスという面でも重要な役割を果たす延長約8.0kmの幹線道路です。

 「北九州空港」は平成18年に開港した九州唯一の24時間空港であり、近年、空港利用数が増加傾向にあります。また、「東九州自動車道」は平成28年に福岡県域区間が全線開通し、その交通需要は増加傾向にあります。これらを連絡する「新北九州空港線」は、主要地方道門司行橋線・町道臨空産業団地2号線と平面交差しており、交差点部の混雑解消が喫緊の課題となっていました。本橋梁の整備により円滑な通行が確保され、北九州空港、東九州自動車道間のアクセス性の向上と周辺地域の産業振興が見込まれます。

 『苅田若久高架橋』は橋長は482mで下部工は14基、上部工は5つの形式に分かれた連続橋です。

交差点上に架設を行う2号橋・4号橋については地域の交通への影響が最小限となるよう夜間に全面通行止めを行い、多軸式特殊台車を用いて一括架設を行いました。その際、空港利用者等への影響が最小限となるよう各管理者との調整を行い工事の周知を徹底いたしました。

 橋梁本体は令和2年11月に完成しており、令和3年春の開通に向けて橋面及び周辺の整備を進めているところです。

※写真提供:福岡県

橋梁概要

路線名一般県道 新北九州空港線
所在地福岡県京都郡苅田町~若久町
橋長482.0m
構造形式1号橋:PC2径間連結ポステン少主桁
2号橋:鋼単純鋼床版箱桁
3号橋:PC7径間連結ポステン少主桁
4号橋:鋼単純鋼床版箱桁
5号橋:PC2径間連結ポステン少主桁
設計荷重B活荷重
支間長34.9m+61.5m+30.0m+69.5m+34.45m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です。

大隈高架橋(仮称)

『大隈高架橋(仮称)』は、主要地方道筑紫野古賀線で整備を進めているJR篠栗線、二級河川多々良川水系多々良川、一般県道福岡篠栗線等を越える高架橋です。

「筑紫野古賀線」は筑紫野市を起点として糟屋郡を経由し、終点の古賀市に至る延長約33㎞の幹線道路です。また、一般国道3号と共に県下における南北方向の広域的な道路ネットワークを形成し、地域経済や住民生活を支えるうえで大きな役割を担う路線です。

本事業箇所は福岡ICに近く、沿線地域は福岡都市圏のベッドタウンとして宅地化が進んでおり、特に一般県道福岡篠栗線との交差箇所である「門松交差点」は福岡県交通渋滞対策協議会において主要渋滞箇所に指定されるなど、交通混雑の緩和が喫緊の課題となっていました。一般県道福岡篠栗線を高架する本橋梁を含めたバイパスの整備により、門松交差点の交通混雑の緩和と広域的な道路ネットワークの機能強化が図られます。

『大隈高架橋(仮称)』は、橋長は676.1mで下部工は26基、上部工は7つの形式に分かれた連続橋です。本橋梁は鉄道や道路、河川、水路など多くの物件を高架しており、施工時の条件整理など関係機関との協議に注力し建設を進めてきました。特にマンション等の住居に隣接していることから、防音シートなどの騒音対策に留意しながら施工を進めました。

橋梁本体は令和3年2月に完成しており、早期の開通に向けに向けて橋面及び周辺の整備を進めているところです。

※写真提供:福岡県

橋梁概要

路線名主要地方道 筑紫野古賀線
所在地福岡県糟屋郡須惠町~粕屋町
橋長676.1m
構造形式PC4径間連結プレテンT桁+PC4径間連結プレテンT桁+PC4径間連結ポステン少主桁+
PC4径間連結プレテンT桁+PC5径間連結プレテンT桁+PC2径間連結ポステン少主桁+
PC2径間連結ポステン少主桁
設計荷重B活荷重
支間長最大45.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

早津江川橋(仮称)

 有明海沿岸道路は福岡県大牟田市から佐賀県鹿島市に至る地域高規格道路で、重要港湾三池港、九州佐賀国際空港などの広域交通拠点と有明海沿岸地域の都市群を連携するとともに、一般国道208号の交通混雑の緩和及び交通安全の確保を目的としており、現在37.5km(福岡県27.5km、佐賀県10.0km)が開通しています。

 大野島IC~(仮称)諸富IC間に位置する早津江川橋は隣接する筑後川橋と同様に1本のアーチリブが支点上で2本に分岐するアーチ橋を採用しています。本橋のデザインコンセプトは「三重津海軍所跡に馴染む緩やかなラインが美しく見える橋」で、透過性を高めるためにシンプルな1連(単弦)アーチを採用することで周辺環境と調和させています。また、下から見た時に圧迫感がないよう橋桁高さを抑え、さらに、三重津海軍所跡に橋脚を設けない構造を採用しています。

 シンボルであるアーチは、六角形断面にすることで様々な角度から光の陰影で変化します。橋桁の塗装色は、周辺に緑が多い場所であるため緑を基調とした「薄い裏葉色」にしています。

※裏葉色(うらはいろ)とは…木の葉や草の葉裏のような淡くくすんだ薄緑色のこと。別に「うらばいろ」ともいいます。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名国道208号有明海沿岸道路
所在地福岡県大川市大野島地先~佐賀県佐賀市大字諸富地先
橋長448.0m
構造形式鋼4径間連続中路式アーチ橋
設計荷重B活荷重
支間長最大150.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

春の町ランプ橋(仮称)

 国道3号黒崎バイパスは、福岡県北九州市八幡東区西本町から同市八幡西区陣原を結ぶ延長5.8kmの片側2車線の自動車専用道路です。平成3年度から事業着手し、平成20年10月に黒崎北ランプ~陣原ランプ(2.9km)が部分供用した後、数度の部分供用を経て、平成24年9月に北九州都市高速道路と接続し5.2kmが供用したことで、北九州市内の自動車専用道路ネットワークの一部としても機能しており、沿道地域への企業立地の進展など地域産業の活性化を促進しています。

 起点側で国道3号に接続する春の町ランプでは、春の町ランプ橋(国道高架部L=290.5m、JR部(オンランプL=267m、オフランプL=329m))により国道3号、JR鹿児島本線、北九州都市高速道路を跨いでいます。JR上の架設は桁長さ約100m、重量400t超の桁となり日本に数台しかない3,000t級クレーンを使用して架設しており、JR上空を長大スパンの桁をクレーンで架設する方法は非常に珍しく綿密な計画と確実な施工が要求されました。本橋は桁部分の施工は完了しており、開通に向けて橋面工の施工を進めています。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名国道3号黒崎バイパス
所在地福岡県北九州市八幡東区西本町~東田
橋長【オンランプ】557.5m(125.5m+165m+267m)
【オフランプ】619.5m(125.5m+165m+329m)
構造形式【オンランプ】:鋼3径間連続非合成箱桁+PC5径間連結ポストテンション方式T桁+鋼4径間連続鋼床版箱桁
【オフランプ】:鋼3径間連続非合成箱桁+PC5径間連結ポストテンション方式T桁+鋼5径間連続鋼床版箱桁
設計荷重B活荷重
支間長【オンランプ】最大59.5m、最大36.0m、最大99.0m
【オフランプ】最大59.5m、最大36.0m、最大81.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。