菱田川橋

 菱田川橋は、北九州市を起点とし、大分県、宮崎県を通り鹿児島市に至る東九州自動車道(延長約436km)の曽於弥五郎IC~末吉財部IC間に位置する橋梁です。

 本橋は橋長688mのPC8径間連続ラーメン波形鋼板ウェブ箱桁橋であり、最大支間長は河川横過部であるP4橋脚~P5橋脚間の124m、桁高は3.7m~8.0mと変化する変断面構造となっています。

 架設は片持張出架設工法を採用していますが、波形鋼板ウェブに上フランジ及び下フランジを接合した構造とし、下床版の支保荷重を波形鋼板ウェブに受け持たせるようにして波形鋼板を架設材として利用するようにしたため、張出架設時の1ブロックの施工長さを大きくすることができ、それにより全体の施工ブロック数を20ブロック減らすことができました。その結果、張出架設用のPC鋼材等の数量も低減でき、コスト削減・工期短縮を実現しています。

橋梁概要

路線名東九州自動車道
所在地鹿児島県曽於市大隅町
橋長688m
構造形式PC8径間連続ラーメン波形鋼板ウェブ箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大124m

所在地

泊野道路3号橋

 

 泊野道路3号橋は、本県中央部に位置する鹿児島空港(鹿児島県霧島市)と本県北西部の薩摩地方北部(鹿児島県出水市)を結ぶ地域高規格道路・北薩横断道路(延長約70km)の泊野IC(仮称)~きららIC(仮称)間に位置する橋梁です。

 本橋は橋長397mの鋼4径間連続非合成鈑桁橋とPC3径間連続ラーメン箱桁曲線橋の複合橋梁で、鋼橋部の最大支間長は40m(最大橋脚高:約25m)、PC橋部の最大支間長は102m(最大橋脚高:約50m)となっています。

 本橋の設計では、経済性・施工性・維持管理等を考慮し、道路計画縦断と現地盤との高低差が比較的低い部分と高い部分の2ブロックに分けて、それぞれの経済的な支間長の橋梁形式を組み合わせた複合の橋梁形式を採用しています。

橋梁概要

路線名国道504号
所在地鹿児島県薩摩郡さつま町泊野
橋長397.0m
構造形式鋼4径間連続非合成鈑桁橋+PC3径間連続ラーメン箱桁曲線橋
設計荷重B活荷重
支間長39.3m+2@40.25m+39.65m+66.0m+102.0m+66.0m

所在地

日見夢大橋

 日見夢大橋は、平成16年3月27日に開通した長崎自動車道長崎IC~長崎多良見IC間の長崎市芒塚町に位置し、一般国道34号、同日見バイパスを横過して長崎芒塚ICに接続しています。周辺の地形は、東に橘湾を望むなだらかな丘陵地が続き、他の三方は急峻な山地に囲まれた眺望景観の美しい場所で、歴史国道に認定された長崎街道に近接しており、その一方で、昭和57年の長崎大水害において、大規模な土砂災害による甚大な被害が発生した場所でもあります。

 このような場所に位置する本橋は、当時の水害における土石流流下範囲外でかつ国道を外した箇所に橋脚を必要とした結果、全長365m、最大支間長180mの3径間のPCエクストラドーズド橋が選定されました。更に、品質管理や維持管理を考慮した全外ケーブル構造への見直しを行ったところ、PCケーブル定着体及び偏向部の追加により上部工重量が増加したことから、従来のコンクリートウェブに替わり軽量化が図れる波形鋼板ウェブを採用しました。この結果、世界で初めてPCエクストラドーズド橋に波形鋼板ウェブを採用した橋梁となりました。

 この新しい橋梁形式の採用にあたり、斜材定着部の鋼製ダイヤフラムや波形鋼板ウェブの安全性について、実橋1/2モデル実験や風洞実験により確認・検証を行うとともに、施工においても、超大型特殊ワーゲンによるブロック数の長大化・低減化や主塔定着部の鋼殻構造による施工省力化により、国道上空での作業時間の短縮が図られ、ワーゲン設置から床版閉合まで約12ヶ月(コンクリートウェブの約3分の2)という短期間で無事完了することが出来ました。

 日見夢大橋は、エクストラドーズド橋の独特の外観及び波形鋼板ウェブによる低い桁高、曲線を多用した橋脚など、周辺の景観や歴史、自然との調和を図りつつ、また、長崎の玄関口としてのランドマークとして、地域に末永く親しまれることを希望しています。

橋梁概要

路線名長崎自動車道
所在地長崎県長崎市芒塚町
橋長365m
構造形式3径間連続波形鋼板エクストラドーズドPC箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大180.0m

所在地

南筑橋

 南筑橋は、一級河川矢部川に架橋された橋長248.0m、中央支間長110.0mの3径間連続エクストラドーズドPC箱桁橋です。一級河川矢部川は、国定天然記念物である「ゲンジボタル」の生息地であり、また江戸時代に治水対策の一環として植えられたといわれる楠木林は、全国でも珍しい密生繁茂林となっています。

 橋梁設計にあたり、これらの周辺環境、沿道の現況を鑑み、広い視野から橋梁景観や経済性に関する基本的な検討審議を行うため、「矢部川橋梁景観検討委員会」を設置し、シンボリックで景観に優れたエクストラドーズドPC橋に決定しています。

 エクストラドーズドPC橋は構造的に見て、一般桁橋と斜張橋の中間に位置し、従来主桁内部に配置されていたPC鋼材を、桁の外側へ大きく偏心して配置した橋梁です。一般桁橋に比べ桁高を低く抑えることができるため、桁自重の軽減を図ることができます。また、主塔高は斜張橋の半分程度にできるため、施工性にも優れています。

橋梁概要

路線名一般県道 唐尾広川線
所在地福岡県みやま市瀬高町小田~福岡県筑後市溝口
橋長248.0m
構造形式3径間連続エクストラドーズドPC箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長69.0m+110.0m+69.0m

所在地

内藤橋

 本路線は、福岡県大牟田市を起点とし、熊本市北区植木町の国道3号に至る重要な幹線道路で、本路線にある内藤橋は菊池川を渡河する玉名郡和水町に位置しています。近隣には、九州縦貫自動車道の菊水インターがあり、玉名市及び荒尾市方面からのインターへのアクセス道路としても重要な路線です。昭和初期に完成した旧橋は、幅員が6m程度と狭く大型車の離合が困難であり、自転車・歩行者の安全な通行にも支障をきたしていました。また、完成後50年以上が経過し、老朽化が著しく、地元からも早急な架け替えが望まれていました。

 架け替えにより、安全で円滑な交通が確保され、和水町及び玉名地域の産業経済、観光産業の活性化に寄与しています。

橋梁概要

路線名主要地方道大牟田植木線
所在地熊本県玉名郡和水町
橋長225m
構造形式PC4径間連続箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大61m

所在地

つむぎ橋 てぃーだ橋

つむぎ橋

てぃーだ橋

 久米島は沖縄本島那覇市の西方約100kmの東シナ海に位置し、島の南東海岸部には美しい海浜が広がる県内有数の観光地です。

 一般県道久米島一周線は、久米島空港を起終点とし、久米島外周の集落を経由しながら観光地を連絡する重要な道路です。

 そのうち、久米島町真謝から同町下阿嘉までの区間は、幅員狭小で線形も悪いことから、道路交通の安全性向上、観光振興及び地域活性化を図るため、拡幅及び線形改良を実施してきました。

 つむぎ橋、てぃーだ橋は、久米島の雄大な海をバックに眺望の開けた位置に建設され、美しい風景に調和する構造美が新たな観光資源となることが期待されています。

 橋梁名は、地元の小中学生を対象とした公募の中から、島の名産品である久米島紬や太陽を意味する方言「てぃーだ」にちなんだ案「つむぎ橋」及び「てぃーだ橋」が採用され、平成25年11月に開通しました。

橋梁概要

路線名一般県道久米島一周線
所在地沖縄県久米島町真謝~下阿嘉
橋長つむぎ橋  160m
てぃーだ橋 457m
構造形式つむぎ橋  7径間連続PC中空床版
てぃーだ橋 8径間連続PC箱桁+5径間連続RCアーチ
設計荷重つむぎ橋   B活荷重
てぃーだ橋  B活荷重
支間長つむぎ橋   21.65m+5@23.00m
てぃーだ橋  33.50m+6@34.00m+33.50m+30.00m+28.50m+3@43.00m+25.50m

所在地

天城橋

 熊本県の上天草市と宇城市を一跨ぎでつなぐ天城橋が、平成30年5月20日に開通しました。

 天城橋は、無料で通行できる自動車専用道路「三角大矢野道路(L=3. 7km)」の一部を構成しており、そのデザイン選定にあたっては、コスト面に加え、連続トラス橋として建設当時世界一を誇った天門橋との調和も考慮し決定しています。

 天城橋の架設方法は、アーチ部材:ケーブルエレクション斜吊工法、補剛桁:台船曳航直下吊工法、PC桁:片持架設工法を採用しており、なかでもケーブルエレクション斜吊工法では、地上高88m、鉄塔間500mにもなる国内最大級のケーブルクレーンを使用し架設を行いました。

 天草地域の陸上交通は、架設後50年を経過した天草五橋で構成する国道1本に依存しており、天城橋の開通によって、交通渋滞の緩和、災害時のリダンダンシー確保等の効果はもちろんのこと、天門橋とともに地域の新たなシンボルとして、末永く親しまれる橋となることを期待しています。

橋梁概要

路線名一般国道266号「三角大矢野道路」
所在地熊本県上天草市大矢野町登立~宇城市三角町三角浦
橋長463.0m
構造形式鋼PC複合中路式ソリッドリブアーチ橋
設計荷重B活荷重
支間長8.0m+362.0m+53.0m(アーチ支間350m)

所在地

天河大橋

 本橋梁は、嘉瀬川ダム建設に伴う付替国道(一般国道323号)の一環として天河(あまご)川と嘉瀬川の合流部に建設された、橋長81.2mの2径間連続非合成鈑桁橋である。

 一般国道323号は、川上金立県立自然公園内をとおる重要な幹線道路であり、本橋梁もその公園内に位置している。このため、景観に配慮すべく、関係自治体と協議し、地元特産品である伽羅柿を基本イメージとして、桁の色を決定したほか、高欄・親柱については、「古湯熊の川温泉地活性化運営委員会」との協議を基に色彩・デザインを決定している。

橋梁概要

路線名一般国道323号
所在地佐賀県佐賀市富士市大字古湯
橋長81.2m
構造形式2径間連続非合成鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大 39.85m

所在地

出逢橋

 出逢橋は、一般国道442号における八女市矢部村の日向神ダム湖畔を跨ぐ橋梁です。 

 一般国道442号は、大分県大分市を起点とし、福岡県大川市を終点とする延長185.3km の一般国道です。福岡県内においては、筑後地方を東西に結ぶ主要な幹線道路として、地域の産業・生活を支える重要な役割を担っています。

 本橋梁は、道路線形が屈曲し安全な通行に支障を来していた当該区間の線形改良を行い、安全・安心な生活の確保に寄与することを目的としています。

 構造は、支間長58.5mの単純トラス橋であり、ワーレントラス構造となっております。 

 使用鋼材については、裸仕様の耐候性鋼材とすることで維持管理コストの縮減を図っています。保護性錆の形成が進むにつれ落ちついた色味となり、景勝地である日向神峡においても、景観にとけ込んだものとなっています。 

橋梁概要

路線名一般国道 442 号
所在地福岡県八女市矢部村
橋長60.0m
構造形式単純トラス橋
設計荷重B活荷重
支間長58.5m

所在地

寿橋

 寿橋は、福岡県うきは市に位置し、筑後川の大石分水路に架かる主要地方道八女香春線の橋梁です。

 主要地方道八女香春線は、筑後地域の八女市を起点とし、うきは市と朝倉市を経て、筑豊地域の田川郡香春町を結ぶ重要な幹線道路となっています。

 なかでも寿橋は観光地である筑後川温泉の玄関口として、重要な役割を果たしていますが、旧橋は架設から約80年が経過し老朽化が進んでおり、また、幅員が狭く大型車の通行に支障を来していたため、架け替え整備を行い平成27年2月に新橋を供用しました。

 新橋は橋長131.0m、上部構造はPC4径間連続場所打ち中空床版橋、下部構造は逆T式橋台及び張出式橋脚となっています。

 通常時は、水が流れていない分水路であり、桁下の施工ヤードが確保できるため、上部工は固定支保工架設により施工を行いました。 

橋梁概要

路線名主要地方道八女香春線
所在地福岡県うきは市浮羽町古川
橋長131.0m
構造形式PC4径間連続場所打ち中空床版橋
設計荷重B活荷重
支間長33.0m

所在地