西光寺7号橋

 西光寺7号橋は、一般国道504号西光寺拡幅事業の事業区間5.8kmの中で実施した橋長352mのPC4径間連続ラーメン箱桁橋です。

 国道504号は、大隅半島の鹿屋市から鹿児島空港を経由して薩摩半島北西部の出水市に至る延長122kmの幹線道路です。その中でも大隅地域や霧島市国分・隼人地域から鹿児島空港や九州縦貫自動車道へアクセスする霧島市隼人町西光寺から同市溝辺町麓間は、線形不良で急勾配の区間であり、これらの改善を図りアクセスの向上を図ることを目的として一部バイパスによる整備を行っています。

 西光寺7号橋はバイパス区間に計画された橋梁で、設計速度60km/h、曲線半径229m,縦断勾配4%で設計しています。下部工は深礎工と場所打杭により施工し、上部工は橋脚が高くなるため張出架設工法で施工し、平成30年5月に完成しました。今後も橋梁とトンネルの整備を進め、一日も早い供用を目指します。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名国道504号
所在地鹿児島県霧島市隼人町西光寺
橋長352.0m
構造形式PC4径間連続ラーメン箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大110.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第10号発行時(平成30年3月)の情報です。

山田IC Aランプ橋(仮称)

 主要地方道指宿鹿児島インター線(通称:指宿スカイライン)は、九州縦貫自動車道や南九州西回り自動車道と連結し、広域ネットワークを形成するとともに鹿児島市街地の外郭環状道路としての機能を有する重要な路線です。

 山田ICは従来ハーフインターチェンジであったため、路線の利便性向上や周辺道路の渋滞緩和を目的に平成28年度よりフルインター化事業に着手しており、Aランプ橋は供用中の本線(4車線)を跨ぐ橋として計画いたしました。

 本橋はランプ周辺の地形的な制約から橋長が短くS字橋であり、拡幅を行っていることから主桁間隔、縦桁本数が変化する複雑な構造となっています。

 また、架設にあたっては一日約2万台を超える交通量の本線上での施工であることから、交通への影響を最小限にとどめるため1夜間の全面通行止めによる多軸式特殊台車一括架設を採用しました。

 今回のフルインター化より指宿スカイラインの利便性が向上し、沿線の観光・産業振興に大きく寄与することが期待されています。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名主要地方道 指宿鹿児島インター線
所在地鹿児島県鹿児島市山田町地内
橋長39.0m
構造形式鋼単純非合成箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大37.8m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

平松城橋

 平松城橋は、都城志布志道路の事業区間(末吉道路)で整備した橋長114.5mの鋼単純鋼床版箱桁橋です。

 都城志布志道路は宮崎県都城市と鹿児島県志布志市を結ぶ約44kmの地域高規格道路で、九州縦貫道都城ICと重要港湾志布志港を直結して物流の効率化を図るとともに、広域交通ネットワークによる地域間交流・連携の促進等を目的として整備しています。鹿児島県内の区間約22kmのうち約12kmの区間は既に供用しており、現在残りの区間の整備を進めているところです。

 平松城橋は一級河川大淀川を横断する曲線橋で、下部工の位置に制約があったことから単純鋼箱桁橋を採用しました。支間長112.3mは単純箱桁橋としては国内最長級となります。工事はクローラクレーンベント工法により工場で製作した桁を分割して運搬し、最大550t吊のクローラクレーンを2基用いて架設作業をおこない、令和元年9月に完成したところです。

今後も残りの工事を進め、一日も早い全線供用を目指します。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名都城志布志道路
所在地鹿児島県曽於市末吉町南之郷地内
橋長114.5m
構造形式鋼単純鋼床版箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大112.3m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第11号発行時(平成31年3月)の情報です。

甑大橋

 甑大橋は、鹿児島県薩摩半島の西方に浮かぶ上甑島・中甑島・下甑島の3つの有人島のうち、中甑島と下甑島を結ぶ全長1,533mの鹿児島県で最も長い橋梁です。

 上甑島と中甑島は平成5年に橋で繋がっていましたが、これまで下甑島との移動手段は船しかありませんでした。鹿児島県では甑島島民の方々の強い要望を受け、平成18年度から甑大橋を含む5.1キロメートルを藺牟田瀬戸架橋工区として道路整備に着手し、平成23年から甑大橋の工事に本格的に着手しました。
 
 甑大橋の工事は仮桟橋による陸上施工と作業船による海上施工に分けて行われ、海峡特有の複雑な潮流や台風や冬季風浪のある厳しい海象条件の難工事でしたが、令和2年8月29日に無事開通することができました。
 
 今回の開通により文字どおり『甑はひとつ』が実現し、多様な海岸景観を有する国定公園である甑島へ、天候や時間帯に左右されずに周遊することが可能となります。また,医療体制や災害応援体制の向上,基幹産業である水産業の振興など,地域の発展に寄与するものと期待しています。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名鹿島上甑線
所在地鹿児島県薩摩川内市 鹿島町藺牟田~上甑町平良
橋長1533.0m
構造形式第1橋:PC3径間連続箱桁橋
第2橋:PC4径間連続箱桁橋
第3橋:PC4径間連続箱桁橋
第4橋:PC4径間連続箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大165.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です。

櫓木川橋(仮称)

 南九州西回り自動車道熊本県八代市を起点とし、熊本県水俣市、鹿児島県出水市及び鹿児島県薩摩川内市を経由して鹿児島県鹿児島市に至る延長140kmの自動車専用道路で現在103kmが供用中です。上記道路の一部をなす芦北出水道路(延長29.6km)は平成5年度から着手し、平成30年度まで水俣ICまで暫定2車線で供用し、芦北水俣地域の観光産業等の活性化に寄与しています。

 芦北出水道路の袋IC(仮称)~出水北IC(仮称)間に位置する櫓木川橋(仮称)は2級河川櫓木川及び市道等を横断する橋梁です。架設工法は鹿児島県側からの架設桁架設工法ですが、最大高さ約21mのハイピアを有する橋梁であり、さらに近接して民家が点在する状況での施工でした。周辺への安全を考慮して二組桁架設工法を採用して桁の転倒落下防止対策の実施や、パネル式桁下足場等を採用して墜落・落下防止対策の実施など周辺住居への配慮や作業員の安全に十分注意して施工を実施し、令和3年12月に完成しました。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名南九州西回り自動車道 芦北出水道路
所在地鹿児島県出水市境町
橋長287.0m
構造形式PC8径間連結ポストテンション方式T桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大36.7m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第14号発行時(令和5年3月)の情報です。

野間岬海道大橋

 一般国道226号は、南さつま市を起点に薩摩半島外周の各地を経由し県都鹿児島市に至る幹線道路であり、鹿児島県の地域防災計画において「緊急輸送道路」に指定されている重要な路線です。

 沿線は「南さつま海道」として風光明媚な八景が指定されており、リアス式海岸の美しい眺望を楽しむことができます。一方で、海岸線に面して切り立った地形により幅員狭小やカーブが連続しており、落石や崩土による交通規制も度々発生しています。

 笠沙道路は、平成5年から道路改良事業に着手し、8橋の橋梁と1本のトンネルを含む計画延長5.4kmのうち約4.2kmを供用し、現在本橋を含むバイパス部1.2kmを整備しています。本橋は、平面線形R=350m、横断勾配4%、縦断勾配6%の区間に位置し、橋長179mの3径間連続PCラーメン箱桁橋で、上部工は移動作業車による片持架設工法で架設を行いました。

 引き続きバイパス部の整備を推進し、全線の供用開始によって緊急輸送道路としての機能性向上、安心・安全な住民生活の確保と共に、産業・観光の振興に大きく寄与するものと期待しています。「野間岬海道大橋」は地元の声を受け新しく命名しましたが、当該路線のランドマークとして橋名を含め末永く親しんでもらえれば幸いです。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名一般国道226号 笠沙道路
所在地鹿児島県南さつま市笠沙町大当
橋長179.0m
構造形式3径間連続PCラーメン箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大82.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第14号発行時(令和5年3月)の情報です。

轟木万田橋

 県道松原轟木線は、天城町松原から轟木集落を経由して徳之島町轟木へ至る延長約6.2kmの地域の生活・経済・観光を支える路線です。また世界自然遺産登録区域につながる道路として、今後ますます重要性が増していくことが予想されています。

 轟木集落から県道伊仙亀津徳之島空港線までの区間は幅員が狭く車両のすれ違いが困難であったことから、轟木工区として平成30年度に道路改良事業に着手したところであり、特に交差点に接続する旧橋は幅員4mのため前後に車両が滞留し、危険な状況でありました。

 轟木万田橋は橋長27.8mのポストテンション方式PC単純中空床版橋で、このうち上部工の桁部材(プレキャストセグメント)21本は熊本県で製作後、鹿児島港から徳之島の亀徳港まで海上運搬し、現場において3本のセグメントをPCケーブルで結合後、両岸に設置した大型クレーンで橋台へ設置しています。

 セグメントの運搬期間中は台風の影響で工事の遅延が懸念されたためストック用の仮設ヤードを確保し、受入れ推進を図った結果当初の工期内で橋梁を完成させることが出来ました。

 施工中は地元小学生による床版へのお絵かきイベントの開催、完成後は地元主催による開通祝いや完成感謝の集いを開催して頂くなど地域の皆様に応援や喜びの言葉を頂きました。

 轟木万田橋が末永く愛着を持ってご利用して頂けたら幸いです。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名一般県道 松原轟木線
所在地鹿児島県大島郡徳之島町轟木
橋長27.8m
構造形式8径間ポストテンション方式PC連結コンポ橋
設計荷重B活荷重
支間長最大26.9m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

平佐麓橋

 主要地方道川内郡山線は、薩摩川内市鳥追町を起点とする鹿児島市郡山町に至る延長約29kmの幹線路線で、地域の生活・経済・観光を支えています。

 薩摩川内市宮崎町での朝夕の慢性的な渋滞や、川内原子力発電所有事の際は避難道路として交通が集中することも予想されることから、渋滞解消及び災害発生時の緊急避難・救急活動のルートとしての機能を確保するためバイパス整備を進めているところです。

 平佐麓橋は橋長35.9mで平佐川を渡河する橋梁であり、起点側に交差点が近接していることから河川条件を満足しつつ、交差点部の道路高への影響を少なくするため桁高の低い鋼単純鋼床版鈑桁橋が採用されています。

 橋梁名の平佐麓橋は地元自治体と協議し、平佐西地区の平佐麓自治会内に新設されたことから選定されています。また、橋名板については地元在住の書道家によって書かれたものです。

 平佐麓橋が末永く愛着を持ってご利用していただけるよう残る交差点改良工事を進め、一日も早い供用を目指しています。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名主要地方道 川内郡山線
所在地鹿児島県薩摩川内市宮崎町
橋長35.9m
構造形式鋼単純鋼床版鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大34.9m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

狩谷川橋

 狩谷川橋は、北九州市を起点とし、大分県、宮崎県を通り鹿児島市に至る東九州自動車道(延長約436km)の曽於弥五郎IC〜末吉財部IC間に位置する橋梁です。

 本橋は橋長270mのPC3径間連続ラーメン波形鋼板ウェブ箱桁橋であり、最大支間長は河川渡河部であるP1橋脚~P2橋脚間の128m、桁高は4.0m~7.5mと変化する変断面構造となっています。

 架設は片持張出架設工法を採用しており、波形鋼板の接合は上側がフランジ付のツインパーフォンドリブ構造で下側がコンクリートの埋込み接合にて施工しています。

橋梁概要

路線名東九州自動車道
所在地鹿児島県曽於市大隅町
橋長270m
構造形式PC3径間連続ラーメン波形鋼板ウェブ箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長128m

所在地

泊野道路3号橋

 

 泊野道路3号橋は、本県中央部に位置する鹿児島空港(鹿児島県霧島市)と本県北西部の薩摩地方北部(鹿児島県出水市)を結ぶ地域高規格道路・北薩横断道路(延長約70km)の泊野IC(仮称)~きららIC(仮称)間に位置する橋梁です。

 本橋は橋長397mの鋼4径間連続非合成鈑桁橋とPC3径間連続ラーメン箱桁曲線橋の複合橋梁で、鋼橋部の最大支間長は40m(最大橋脚高:約25m)、PC橋部の最大支間長は102m(最大橋脚高:約50m)となっています。

 本橋の設計では経済性・施工性・維持管理等を考慮し、道路計画縦断と現地盤との高低差が比較的低い部分と高い部分の2ブロックに分けて、それぞれの経済的な支間長の橋梁形式を組み合わせた複合の橋梁形式を採用しています。

橋梁概要

路線名国道504号
所在地鹿児島県薩摩郡さつま町泊野
橋長397.0m
構造形式鋼4径間連続非合成鈑桁橋+PC3径間連続ラーメン箱桁曲線橋
設計荷重B活荷重
支間長39.3m+2@40.25m+39.65m+66.0m+102.0m+66.0m

所在地