春吉橋

 春吉橋は福岡県福岡市中心部に位置する国道202号(通称:国体道路)で、 二級河川那珂川を渡河する橋梁です。架設後60年以上経過した橋梁で、海が近いため「塩害」による下部工の損傷、基礎が木杭のため耐震性に十分な期待ができないこと及び、河川幅・橋脚の間隔の狭さによる治水上の課題解決のため、第一次緊急輸送道路としての安全性・信頼性を確保するため架替えました。

 架替えにあたっては周辺はビルなどの建物が立つ狭隘な施工ヤードであったことから、P1橋脚施工時に設置した仮橋を残し、本線上部工の地組を行いP1~A2下流上部工の架設。架設した上部工を再度地組ヤードとして活用しP1~A2上流側上部工の架設。架設されたP1~A2間を活用してA1~P1の架設が行われました。

 春吉橋の架橋位置が博多と天神の二つの拠点を結ぶクロスポイントとなることから、立地的なポテンシャルを生かした「春吉橋賑わい空間」として活用するため、通常撤去する迂回路橋を永久橋として建設しています。

 本橋のデザインコンセプト「ひと・まちを結び、賑わいを創出する『新たな春吉橋』」を踏まえて、圧迫感を抑えたシンプルなデザインや落ち着きのある舗装色とすることで、国体道路、近隣公園、水辺空間などの周辺空間とのつながりや調和が感じられ、賑わいシーンの演出や憩いくつろぐことのできるような様々な利用特性に応じた空間演出と全体的なまとまりの両立を目指しています。また、中洲の夜景に沈み込まないように高欄に景観照明を設置しています。なお、賑わい空間の具体的な計画については福岡市にて検討しています。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名国道202号
所在地福岡県福岡市博多区中洲1丁目~福岡県福岡市中央区春1丁目
橋長65.2m
構造形式鋼2径間連続鋼床版鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大31.8m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第14号発行時(令和5年3月)の情報です。

関門橋

 NEXCO西日本が管理する関門橋は、本州と九州を繋ぐ関門自動車道の一部として重要な役割を担っています。関門橋は日本における長大吊橋の初期(1973年)に建設され、50周年の節目を迎えようとしています。

 供用後30年が経過したあたりから、海上架橋や交通荷重等の影響により腐食や疲労の損傷が顕在化し始めたことで最初の大規模な補修時期を迎え、2011年から大規模な補修工事を実施しています。

 補剛桁においては過去に実施した補修塗装により塗膜厚が厚く、塗膜に割れが生じていることから塗替塗装を実施しており、2022年4月に完了しました。また、床組においては長年の供用により既設線支承の回転・移動が拘束されたことで補剛材に疲労き裂が発生しており、支承取替並びに疲労き裂箇所の補修を実施しました。その他にも、主ケーブル送気システムの設置、アンカレイジ壁面の補修やハンガーロープの塗替塗装等を実施しています。

 長期間にわたる補修工事では、一部の期間で片側3車線を片側1車線にする昼夜連続規制を実施しています。規制区間における安全対策を引き続き実施し、お客様への安全・安心な走行確保に尽力します。

※写真提供:西日本高速道路(株) 九州支社

橋梁概要

路線名E2A 関門自動車道
所在地山口県下関市~福岡県北九州市門司区
橋長1068m
構造形式3径間2ヒンジ補剛桁吊橋
設計荷重B活荷重
支間長712m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第14号発行時(令和5年3月)の情報です。

福岡都市高速アイランドシティ線

 福岡高速6号線(通称名:アイランドシティ線、以下「アイランドシティ線」という)は、福岡市東部地域の交通混雑緩和やアイランドシティ地区などへの広域的な交通需要に対応するため、福岡高速道路を介して九州各地を結ぶ広域的な交通ネットワークの形成を図ることを目的として、令和3年3月27日に供用開始いたしました。

 アイランドシティにおいては居住人口が12,000人(令和3年3月時点)を超えるとともに商業施設の立地などまちづくりが進められており、まちづくりの進展に伴う交通需要の増加に対し一般道から都市高速に交通転換し、アイランドシティおよび周辺道路の交通混雑の緩和が期待されます。

 アイランドシティ線は、既設の福岡高速道路や交通量の多い指導の上空を通過する部分については交通規制(昼夜間の車線規制)が少なくなる取組として、夜間時の一括架設を行いました。

 福岡北九州高速道路公社は、令和3年11月1日に公社設立50周年を迎えました。この50周年を新たな出発点としてこれからもお客さまに満足していただけるよう、安全・安心・円滑で利便性の高い都市高速道路サービスの提供に努めてまいります。

※写真提供:福岡北九州高速道路公社

橋梁概要

路線名福岡高速6号線
所在地
橋長188.474m+379.0m+439m+280m
構造形式鋼3径間連続少数鈑桁橋+鋼4径間連続鋼床版箱桁橋+鋼6径間連続合成床版細幅箱桁橋+PRC7径間連続中空床版橋
設計荷重B活荷重
支間長

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

海の中道大橋

 1級市道奈多香椎浜線は福岡市東区大字奈多を起点とし、博多湾において埋め立て整備が進められている人工島「アイランドシティ」の中心部を通っている幹線道路であり、第2次緊急輸送道路に指定される重要路線であります。

 本路線のうち、博多湾上に位置するところに架設されている「海の中道大橋」は福岡市が管理する道路橋約2,000橋の中で最も橋長が長い橋梁となっており、平成26年3月に竣工しました。

 構造形式は、海と空の広がりを重視し橋が自然味あふれる風景を覆ってしまわないように配慮するとともに、21世紀を感じさせる新しいまち「アイランドシティ」のシンボルとしての役割を担えるよう中央径間に鋼バランスドアーチ、側径間にPC桁を採用し、シンプルでのびやかな形状をしております。

 本橋梁は幹線道路ネットワークの一部として、将来の福岡市の成長を牽引する新たな拠点「アイランドシティ」の交通需要増加への対応や本市の観光地である志賀島や国営海の中道海浜公園、雁ノ巣レクリエーションセンター等のレジャー施設へのアクセス道路の役割を担うなど、本市東部地区の交通体系の確立に寄与しております。

※写真提供:福岡市

橋梁概要

路線名1級市道 奈多香椎浜線
所在地福岡県福岡市東区大字奈多地内
橋長750.0m
構造形式3径間連続鋼床版バランスドアーチ橋+3径間連続PC箱桁橋+4径間連続PC中空床板橋
設計荷重B活荷重
支間長最大140.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

新大間池橋

 主要地方道筑紫野古賀線は、筑紫野市を起点として国道201号・国道3号と接続し、古賀市に至る延長約33kmの幹線道路です。並行する九州縦貫自動車道・国道3号とともに福岡・久留米都市圏相互を連絡する広域的なネットワークを形成し、地域経済や住民生活を支える上で大きな役割を担う重要な路線です。現在、福岡県では全線にわたり4車線化を計画しており、本橋が架かる「須恵・粕屋2工区」を含め5箇所で事業を進めています。

 新大間池に架かる「新大間池橋」は、主要渋滞箇所に指定されている「門松交差点」の渋滞解消を目的としたバイパス整備の一環で新設した橋梁であり、橋長175.0mのPC3径間連続箱桁橋です。新大間池の中に設置される2基の橋脚は地盤面から支持地盤まで深度が3m程と比較的浅いことから、PCウェルを用いた門型橋脚としています。また、上部工は上空に高圧線があるため、送り出し架設工法で架設を行いました。

 本橋については2017年(平成29年)3月に完成しており、バイパスは2023年(令和5年)4月に供用開始しました。今回の供用開始により渋滞が解消し、円滑な通行が確保されています。今後、地域間の連携や産業・経済の発展などの地域活性化に大きく寄与することが期待されています。

※写真提供:福岡県

橋梁概要

路線名主要地方道 筑紫野古賀線
所在地福岡県糟屋郡須惠町~粕屋町
橋長175.0m
構造形式PC3径間連続箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大58.7m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

興徳寺橋

 1級市道千代今宿線は福岡市博多区千代と西区今宿までを結ぶ幹線道路であり、福岡市の中心地域から西部地域を繋ぐ重要な役割を担う二級河川の名柄川上に架かる橋梁になります。本橋梁は、福岡県の地域防災計画に位置付けられた第1次緊急輸送道路上にあるものの、現行の耐震基準を満たしていないことや、1964年(昭和39年)の架設から50年以上が経過しており老朽化が進んでいることから、架替工事を実施する事となりました。

 2014年(平成26年)に用地測量に着手後、仮橋を設置した上で本橋の架替工事に着手し、2022年(令和4年)に本橋の工事が完了しました。

 本橋の完成時には記念式典を開催し、地域の皆さまより喜びの言葉を頂きました。今回の架替えにより耐震化が図られ、第一次緊急輸送道路としての信頼性も確保されます。福岡市では市民の安全・安心な生活のため、今後とも橋梁耐震化の取り組みを進めてまいります。

※写真提供:福岡市

橋梁概要

路線名1級市道千代今宿線
所在地福岡市西区姪の浜5丁目地内
橋長26.5m
構造形式1径間(PCバイプレストレッシング中空床版橋)
設計荷重B活荷重
支間長15.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

宮ノ尾橋

 一般国道442号は大分県大分市から熊本県小国町を経由し、福岡県大川市に至る北部九州を横断する幹線道路であり、人流・物流を支えるとともに災害時の緊急輸送路としても大きな役割を担う重要な路線です。

 一級河川矢部川水系御側川に架かる「宮ノ尾橋」は昭和13年に架設されてから80年以上が経過し、老朽化が著しいため架け換えを行い、併せて幅員狭小および線形不良の解消を図りました。

 道路線形の改良に伴い架橋位置が旧橋下流側の河川合流部となり橋脚が設置できないこと、S字の平面曲線を設ける必要があることから、新橋は鋼単純鋼床版箱桁橋を採用しました。下部工は逆T式橋台、基礎工は直接基礎としています。また、上部工は河川合流部にベントの設置ができないことから、手延式送出し工法により施工を行いました。

 令和6年8月3日の供用開始により円滑な交通が確保され、地域間の連携強化や観光業・農林業等の地域産業の活性化に寄与することが期待されます。

※写真提供:福岡県

橋梁概要

路線名一般国道442号
所在地福岡県八女市矢部村北矢部
橋長92.0m
構造形式鋼単純鋼床版箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大90.35m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

黒木原橋

 国道201号八木山バイパス(延長13.3km)は福岡都市圏と筑豊地域を結ぶ主要幹線道路であり、暫定2車線で供用されていますが、本バイパスの前後は4車線区間でこれに挟まれたボトルネック区間となっていることから交通渋滞が発生したり、対面通行のため正面衝突事故が多く発生していました。

 これらを解消するために、平成31年度から直轄道路事業と有料道路事業を組み合わせた整備手法により4車線化事業を進めているところです。現在、篠栗IC~筑穂IC(延長5.7km)間について令和6年度内の完成を目指し、橋梁、トンネルおよび土工区間の舗装や設備等の工事を推進しており、開通後はNEXCO西日本が管理する有料道路として運用が始まります。

 黒木原橋は今回開通区間にある橋長121.9mの橋梁ですが、供用中の上り線に隣接する下り線側の架設工事として120tクローラクレーンにより架設しました。施工箇所のすぐ横を一般車両が通行するなど狭隘な現場であったため、架設した桁上へ仮架台を設置することでクレーンヤードを確保したり、クレーンの転倒防止対策としてリアルタイム傾斜システムなどの新技術を活用したりするなど、安全に配慮した施工に取り組みました。

 上り線の夜間片側交互通行による規制や桁下町道の通行止めなど、地域や道路利用者のご協力をいただきながら、令和5年12月に架設を完了しました。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名一般国道201号 八木山バイパス
所在地福岡県粕屋郡篠栗町篠栗地先
橋長121.9m
構造形式鋼4径間連続非合成鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大31.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

南筑橋

 南筑橋は、一級河川矢部川に架橋された橋長248.0m、中央支間長110.0mの3径間連続エクストラドーズドPC箱桁橋です。一級河川矢部川は、国定天然記念物である「ゲンジボタル」の生息地であり、また江戸時代に治水対策の一環として植えられたといわれる楠木林は、全国でも珍しい密生繁茂林となっています。

 橋梁設計にあたり、これらの周辺環境、沿道の現況を鑑み、広い視野から橋梁景観や経済性に関する基本的な検討審議を行うため、「矢部川橋梁景観検討委員会」を設置し、シンボリックで景観に優れたエクストラドーズドPC橋に決定しています。

 エクストラドーズドPC橋は構造的に見て、一般桁橋と斜張橋の中間に位置し、従来主桁内部に配置されていたPC鋼材を、桁の外側へ大きく偏心して配置した橋梁です。一般桁橋に比べ桁高を低く抑えることができるため、桁自重の軽減を図ることができます。また、主塔高は斜張橋の半分程度にできるため、施工性にも優れています。

橋梁概要

路線名一般県道 唐尾広川線
所在地福岡県みやま市瀬高町小田~福岡県筑後市溝口
橋長248.0m
構造形式3径間連続エクストラドーズドPC箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長69.0m+110.0m+69.0m

所在地

香椎高架橋

 一般国道3号博多バイパスは、福岡市東部地域の交通混雑の解消及び生活道路の安全性向上、福岡空港や博多駅、博多港などの物流拠点へのアクセス時間の短縮を図り物流活動を支援することを目的としており、平成30年3月に全線供用した道路です。

 香椎高架橋は香椎川、主要地方道福岡東環状線、JR香椎線を跨ぐ橋梁で、平成21年度から下部工に着手し、平成29年度に完成しています。

 近隣には国の重要文化財である仲哀天皇の神霊を祀っている香椎宮があり、本橋が跨ぐ福岡東環状線はその香椎宮の参道であるためクス並木が続く緑豊かな地域となっています。そのため、『PC3径間連結ポステンプレキャストブロック工法中空床版橋』を採用し、桁高を低くして桁下の煩雑さをなくすことにより開放感が感じられるような構造としています。その他に高欄には擬宝珠(ぎぼし)の付いた朱色の鋳鉄製防護柵の採用や、下部工を柱勝(はしらかち)形状とすることで参道の鳥居のイメージ化を図ったりするなど地域の景観に配慮し施工を行っています。

橋梁概要

路線名国道3号(博多バイパス)
所在地福岡県福岡市東区香椎
橋長96.0m
構造形式PC3径間連結ポステンプレキャストブロック工法中空床版橋
設計荷重B活荷重
支間長36.75m

所在地