関門橋

 NEXCO西日本が管理する関門橋は、本州と九州を繋ぐ関門自動車道の一部として重要な役割を担っています。関門橋は日本における長大吊橋の初期(1973年)に建設され、50周年の節目を迎えようとしています。

 供用後30年が経過したあたりから、海上架橋や交通荷重等の影響により腐食や疲労の損傷が顕在化し始めたことで最初の大規模な補修時期を迎え、2011年から大規模な補修工事を実施しています。

 補剛桁においては過去に実施した補修塗装により塗膜厚が厚く、塗膜に割れが生じていることから塗替塗装を実施しており、2022年4月に完了しました。また、床組においては長年の供用により既設線支承の回転・移動が拘束されたことで補剛材に疲労き裂が発生しており、支承取替並びに疲労き裂箇所の補修を実施しました。その他にも、主ケーブル送気システムの設置、アンカレイジ壁面の補修やハンガーロープの塗替塗装等を実施しています。

 長期間にわたる補修工事では、一部の期間で片側3車線を片側1車線にする昼夜連続規制を実施しています。規制区間における安全対策を引き続き実施し、お客様への安全・安心な走行確保に尽力します。

※写真提供:西日本高速道路(株) 九州支社

橋梁概要

路線名E2A 関門自動車道
所在地山口県下関市~福岡県北九州市門司区
橋長1068m
構造形式3径間2ヒンジ補剛桁吊橋
設計荷重B活荷重
支間長712m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第14号発行時(令和5年3月)の情報です。

福岡都市高速アイランドシティ線

 福岡高速6号線(通称名:アイランドシティ線、以下「アイランドシティ線」という)は、福岡市東部地域の交通混雑緩和やアイランドシティ地区などへの広域的な交通需要に対応するため、福岡高速道路を介して九州各地を結ぶ広域的な交通ネットワークの形成を図ることを目的として、令和3年3月27日に供用開始いたしました。

 アイランドシティにおいては居住人口が12,000人(令和3年3月時点)を超えるとともに商業施設の立地などまちづくりが進められており、まちづくりの進展に伴う交通需要の増加に対し一般道から都市高速に交通転換し、アイランドシティおよび周辺道路の交通混雑の緩和が期待されます。

 アイランドシティ線は、既設の福岡高速道路や交通量の多い指導の上空を通過する部分については交通規制(昼夜間の車線規制)が少なくなる取組として、夜間時の一括架設を行いました。

 福岡北九州高速道路公社は、令和3年11月1日に公社設立50周年を迎えました。この50周年を新たな出発点としてこれからもお客さまに満足していただけるよう、安全・安心・円滑で利便性の高い都市高速道路サービスの提供に努めてまいります。

※写真提供:福岡北九州高速道路公社

橋梁概要

路線名福岡高速6号線
所在地
橋長188.474m+379.0m+439m+280m
構造形式鋼3径間連続少数鈑桁橋+鋼4径間連続鋼床版箱桁橋+鋼6径間連続合成床版細幅箱桁橋+PRC7径間連続中空床版橋
設計荷重B活荷重
支間長

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

海の中道大橋

 1級市道奈多香椎浜線は福岡市東区大字奈多を起点とし、博多湾において埋め立て整備が進められている人工島「アイランドシティ」の中心部を通っている幹線道路であり、第2次緊急輸送道路に指定される重要路線であります。

 本路線のうち、博多湾上に位置するところに架設されている「海の中道大橋」は福岡市が管理する道路橋約2,000橋の中で最も橋長が長い橋梁となっており、平成26年3月に竣工しました。

 構造形式は、海と空の広がりを重視し橋が自然味あふれる風景を覆ってしまわないように配慮するとともに、21世紀を感じさせる新しいまち「アイランドシティ」のシンボルとしての役割を担えるよう中央径間に鋼バランスドアーチ、側径間にPC桁を採用し、シンプルでのびやかな形状をしております。

 本橋梁は幹線道路ネットワークの一部として、将来の福岡市の成長を牽引する新たな拠点「アイランドシティ」の交通需要増加への対応や本市の観光地である志賀島や国営海の中道海浜公園、雁ノ巣レクリエーションセンター等のレジャー施設へのアクセス道路の役割を担うなど、本市東部地区の交通体系の確立に寄与しております。

※写真提供:福岡市

橋梁概要

路線名1級市道 奈多香椎浜線
所在地福岡県福岡市東区大字奈多地内
橋長750.0m
構造形式3径間連続鋼床版バランスドアーチ橋+3径間連続PC箱桁橋+4径間連続PC中空床板橋
設計荷重B活荷重
支間長最大140.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

新大間池橋

 主要地方道筑紫野古賀線は、筑紫野市を起点として国道201号・国道3号と接続し、古賀市に至る延長約33kmの幹線道路です。並行する九州縦貫自動車道・国道3号とともに福岡・久留米都市圏相互を連絡する広域的なネットワークを形成し、地域経済や住民生活を支える上で大きな役割を担う重要な路線です。現在、福岡県では全線にわたり4車線化を計画しており、本橋が架かる「須恵・粕屋2工区」を含め5箇所で事業を進めています。

 新大間池に架かる「新大間池橋」は、主要渋滞箇所に指定されている「門松交差点」の渋滞解消を目的としたバイパス整備の一環で新設した橋梁であり、橋長175.0mのPC3径間連続箱桁橋です。新大間池の中に設置される2基の橋脚は地盤面から支持地盤まで深度が3m程と比較的浅いことから、PCウェルを用いた門型橋脚としています。また、上部工は上空に高圧線があるため、送り出し架設工法で架設を行いました。

 本橋については2017年(平成29年)3月に完成しており、バイパスは2023年(令和5年)4月に供用開始しました。今回の供用開始により渋滞が解消し、円滑な通行が確保されています。今後、地域間の連携や産業・経済の発展などの地域活性化に大きく寄与することが期待されています。

※写真提供:福岡県

橋梁概要

路線名主要地方道 筑紫野古賀線
所在地福岡県糟屋郡須惠町~粕屋町
橋長175.0m
構造形式PC3径間連続箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大58.7m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

新蕨野橋

 県道栃野西大山線は日田市中津江村の主要地方道天瀬阿蘇線を起点とし、同市大山町の国道212号へ至る延長約4.8kmの幹線道路であり、地域住民の生活道路や木材等の運搬経路として地域を支える重要な路線です。また、主要観光地を結び九州横断自動車道日田ICに繋がる観光路線であると共に、大分県の地域防災計画において「緊急輸送道路」に指定されています。

 本路線のうち当該区間は、線形不良・幅員狭小に加え現道に所在するトンネルの建築限界が不足し、大型車等の通行に支障をきたしているため通行車両の安全確保と利便性向上を図ることを目的としたバイパス整備を推進しています。

 「新蕨野橋」は、経済性や施工性、景観性等を考慮した鋼単純上路トラス橋を選定し、ケーブルエレクション工法で架設を行いました。

 架設にあたっては、松原ダムのダム湖横断部に位置すると共に、現道の既設橋や新設トンネルの坑口に近接し施工ヤードが狭小のため仮設機材の配置に苦慮しました。また、施工ヤード出入口の見通しが悪いため、車両感知器を配置するなど安全に配慮し施工を行いました。

 引き続き他の橋梁やトンネル等の整備を促進し、バイパスを早期供用させることで緊急輸送道路としての機能性を向上させ、安心・安全な住民生活の確保を図ると共に産業や観光の振興、地域の活性化に大きく寄与するものと期待しています。

※写真提供:大分県

橋梁概要

路線名一般県道栃野西大山線
所在地大分県日田市中津江村栃野
橋長78.0m
構造形式鋼単純上路トラス橋
設計荷重B活荷重
支間長76.6m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

轟木万田橋

 県道松原轟木線は、天城町松原から轟木集落を経由して徳之島町轟木へ至る延長約6.2kmの地域の生活・経済・観光を支える路線です。また世界自然遺産登録区域につながる道路として、今後ますます重要性が増していくことが予想されています。

 轟木集落から県道伊仙亀津徳之島空港線までの区間は幅員が狭く車両のすれ違いが困難であったことから、轟木工区として平成30年度に道路改良事業に着手したところであり、特に交差点に接続する旧橋は幅員4mのため前後に車両が滞留し、危険な状況でありました。

 轟木万田橋は橋長27.8mのポストテンション方式PC単純中空床版橋で、このうち上部工の桁部材(プレキャストセグメント)21本は熊本県で製作後、鹿児島港から徳之島の亀徳港まで海上運搬し、現場において3本のセグメントをPCケーブルで結合後、両岸に設置した大型クレーンで橋台へ設置しています。

 セグメントの運搬期間中は台風の影響で工事の遅延が懸念されたためストック用の仮設ヤードを確保し、受入れ推進を図った結果当初の工期内で橋梁を完成させることが出来ました。

 施工中は地元小学生による床版へのお絵かきイベントの開催、完成後は地元主催による開通祝いや完成感謝の集いを開催して頂くなど地域の皆様に応援や喜びの言葉を頂きました。

 轟木万田橋が末永く愛着を持ってご利用して頂けたら幸いです。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名一般県道 松原轟木線
所在地鹿児島県大島郡徳之島町轟木
橋長27.8m
構造形式8径間ポストテンション方式PC連結コンポ橋
設計荷重B活荷重
支間長最大26.9m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

栗野橋

 一般国道191号は、山口県日本海側の下関市、長門市、萩市、阿武町の各都市を経由しながら島根県まで続き、山口県地域防災計画に位置付けられた第1次緊急輸送道路です。また、下関市北部における生活道路であるとともに、山陰道から県内有数の観光スポットである角島大橋等の各拠点へのアクセス道路として物流及び観光を支える重要な道路です。

 本路線の北西部、山口県下関市豊北町に位置し、二級河川粟野川を渡河する「粟野橋」は、1957年(昭和32年)の架橋から60年以上が経過した橋梁です。塩害等の影響から支承部において著しい損傷が確認されるなど、定期点検において健全性区分Ⅲ(早期措置段階)と診断されたため、「補修・補強を行い継続利用する案」と「橋梁を架け替える案」について、LCC(ライフサイクルコスト)比較を行った結果、架け替えを実施することとしました。

 今回の架け替えにより、耐震化が図られ、第1次緊急輸送道路としての信頼性も確保されますので、一日も早い完成に向け、施工を進めています。

 山口県ではこれからも、「日本一の安心インフラやまぐちの実現」に向け、取組みを進めてまいります。

※写真提供:山口県

橋梁概要

路線名一般国道191号
所在地山口県下関市豊北町大字粟野
橋長111.0m
構造形式鋼2径間連続非合成箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大65.2m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

花園高架1号橋

 熊本西環状道路は、熊本市南区砂原町と北区下硯川町までを結ぶ延長約12㎞の道路で、6箇所のインターチェンジから出入りを行う自動車専用道路です。平成29年3月に下硯川IC~花園IC間約4.1㎞が開通し、現在は花園IC~池上IC間約4.6㎞の令和7年度中開通を目標に工事を行っています。さらに、池上IC~砂原IC間約3.8㎞は令和4年度に事業化され現在、調査・設計を行っています。

 この橋梁は、土工部とトンネルの間に架かる橋長300mのPC橋です。下部工形式は逆T式橋台・矩形柱張出し式橋脚、基礎形式は深礎杭・場所打ち杭です。上部工形式は8径間ポストテンション方式PC連結コンポ橋であり架設桁架設工法で施工しました。

 下硯川IC~花園IC間の開通により、交通混雑の緩和・移動時間の短縮・商業活動支援・安心安全の向上・救急医療活動支援・防災性の向上などの効果が得られています。今後は、花園IC~池上IC間・池上IC~砂原IC間の延伸による、さらなる効果が期待されます。

※写真提供:熊本市

橋梁概要

路線名熊本西環状道路一般県道砂原四方寄線
所在地熊本市西区花園7丁目地内
橋長300.0m
構造形式8径間ポストテンション方式PC連結コンポ橋
設計荷重B活荷重
支間長最大36.5m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

天岩戸橋側道橋

 下野鹿狩戸(しものかがりど)線は高千穂町大字下野から同町大字岩戸に至る一般県道であり、その沿線にある天岩戸神社の周辺では地元住民を主体とした「まちづくり」活動が活発に行われています。

 天岩戸橋は歩道が無いため観光客等の歩行者と通行車両の距離が近く、歩行者の安全確保が課題となっていたことから側道橋を整備することとなりました。

 本橋は地元のまちづくり等に取り組む関係者で構成された「まちづくり協議会」においてワークショップを行い、住民の意見を反映したデザインを採用しました。

 主桁は逆台形断面とすることで、一般的な張出し床版を有する長方形断面に比べて点検や維持管理を容易にするとともに、鋼材重量の低減を図り経済的な設計としました。

 上部工の架設方法は架橋位置が深い谷地形となることから手延式送出し工法を採用しましたが、支間長に対して施工ヤードが狭く地組できる桁の長さが制約されることから送出し作業の安全性の向上を図る必要があり、送出しジャッキと仮受けジャッキに送出し量や重量を測定する機器を取付け、重量が設計値内に収まっているか常時管理しました。また、降下設備の高さが5.0m以上となることから降下作業についても安全性の向上を図る必要があり、無線式傾斜管理システムを用いて常時降下設備の傾斜を管理しました。

 本橋の整備が、天岩戸神社を訪れる観光客等の安全な通行に寄与するものと期待しています。

※写真提供:宮崎県

橋梁概要

路線名一般県道下野鹿狩戸線
所在地宮崎県西臼杵郡高千穂町大字岩戸
橋長84.0m
構造形式単純鋼床版箱桁
設計荷重群集荷重
支間長82.2m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。

許田高架橋(上り線)

 NEXCO西日本が管理する許田高架橋(上り線)は沖縄自動車道の北端に位置し、国道58号から許田ICに接続する橋梁であり、沖縄北部地域と南部地域を繋ぐ重要な役割を担っています。
 
 本橋は昭和50年に供用開始し、RC床版において劣化が進行したため、令和4年1月~4月により耐久性の高いプレキャストPC床版に取替えを行いました。

 本現場では、プレキャストPC床版の架設にあたり国道58号が並走しており、新設床版をクレーンにて旋回させ架設することが不可能だったため、全断面床版架設機を用いて施工を行いました。

 また、工事期間中上り線の通行を確保するため下り線の2車線を活用し、昼夜連続対面通行規制を行い両方向の通行を確保したのち施工を行いました。
 
 NEXCO西日本では、本橋を含む高速道路リニューアルプロジェクトを実施しております。交通規制に伴う社会的な影響をできる限り軽減するための工夫を継続的に行い、お客様への安全・安心な走行確保に尽力します。

※写真提供:西日本高速道路(株) 九州支社

橋梁概要

路線名E58 沖縄自動車道
所在地沖縄県名護市許田手水原
橋長449.5m
構造形式鋼(3+3+3+4径間)連続非合成鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大42.04m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第15号発行時(令和6年3月)の情報です。