興徳寺橋

 1級市道千代今宿線は福岡市博多区千代と西区今宿までを結ぶ幹線道路であり、福岡市の中心地域から西部地域を繋ぐ重要な役割を担う二級河川の名柄川上に架かる橋梁になります。本橋梁は、福岡県の地域防災計画に位置付けられた第1次緊急輸送道路上にあるものの、現行の耐震基準を満たしていないことや、1964年(昭和39年)の架設から50年以上が経過しており老朽化が進んでいることから、架替工事を実施する事となりました。

 2014年(平成26年)に用地測量に着手後、仮橋を設置した上で本橋の架替工事に着手し、2022年(令和4年)に本橋の工事が完了しました。

 本橋の完成時には記念式典を開催し、地域の皆さまより喜びの言葉を頂きました。今回の架替えにより耐震化が図られ、第一次緊急輸送道路としての信頼性も確保されます。福岡市では市民の安全・安心な生活のため、今後とも橋梁耐震化の取り組みを進めてまいります。

※写真提供:福岡市

橋梁概要

路線名1級市道千代今宿線
所在地福岡市西区姪の浜5丁目地内
橋長26.5m
構造形式1径間(PCバイプレストレッシング中空床版橋)
設計荷重B活荷重
支間長15.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

平佐麓橋

 主要地方道川内郡山線は、薩摩川内市鳥追町を起点とする鹿児島市郡山町に至る延長約29kmの幹線路線で、地域の生活・経済・観光を支えています。

 薩摩川内市宮崎町での朝夕の慢性的な渋滞や、川内原子力発電所有事の際は避難道路として交通が集中することも予想されることから、渋滞解消及び災害発生時の緊急避難・救急活動のルートとしての機能を確保するためバイパス整備を進めているところです。

 平佐麓橋は橋長35.9mで平佐川を渡河する橋梁であり、起点側に交差点が近接していることから河川条件を満足しつつ、交差点部の道路高への影響を少なくするため桁高の低い鋼単純鋼床版鈑桁橋が採用されています。

 橋梁名の平佐麓橋は地元自治体と協議し、平佐西地区の平佐麓自治会内に新設されたことから選定されています。また、橋名板については地元在住の書道家によって書かれたものです。

 平佐麓橋が末永く愛着を持ってご利用していただけるよう残る交差点改良工事を進め、一日も早い供用を目指しています。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名主要地方道 川内郡山線
所在地鹿児島県薩摩川内市宮崎町
橋長35.9m
構造形式鋼単純鋼床版鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大34.9m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

佐渡の谷大橋

 一般国道327号は宮崎県日向市を起点とし、東臼杵郡美郷町・諸塚村・椎葉村を経由して熊本県山都町に至る幹線道路で、第1次緊急輸送道路にも位置づけられ、中山間地域と地方都市圏を結ぶライフラインとして非常に重要な役割を担う路線です。

 現在整備を進めている諸塚村と椎葉村の村界付近の区間においては、九州電力が耳川(二級河川)に設置した塚原ダムの貯水池に面していることもあり、線形が悪く幅員も狭いため、普通車同士のすれ違いが困難な状況であることから、バイパス整備により安全かつ円滑な通行の確保を図っているところです。

 佐渡の谷大橋は橋長124.0mのPCTラーメン箱桁橋で、張出し架設工法により施工し、橋脚の基礎には大口径深礎杭(φ8000)を採用しています。施工時には大量の湧水が発生し、掘削が困難となる事態に見舞われました。このため、湧水対策として薬液注入による地盤改良と合わせ、矢板締切による薬液流出防止対策を実施したことにより無事に工事を終え、令和5年12月に供用を開始しました。

 今後は整備区間内に計画している他の橋梁等の事業を進めることとしており緊急輸送道路としての機能確保に加え、地域間交流による沿線町村の活性化に寄与できるよう、引き続き早期の効果発現に取り組んでまいります。 

※写真提供:宮崎県

橋梁概要

路線名国道327号
所在地宮崎県東臼杵郡椎葉村大字松尾
橋長124.0m
構造形式PCTラーメン箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大60.9m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

池上Cランプ2号橋

 熊本西環状道路は、熊本市南区砂原町と北区下硯川町を結ぶ延長約12㎞の自動車専用道路です。平成29年3月に下硯川IC~花園IC間約4.1㎞が開通し、現在は令和7年度中の開通を目標に花園IC~池上熊本駅IC間(池上工区)約4.6㎞を整備しています。

 熊本西環状道路と一般道をつなぐインター線の一部であるCランプ2号橋は橋長197mの鋼5径間連続非合成鈑桁橋で、トラッククレーンベント架設工法で施工しました。橋梁の一部が河川を跨ぐため、クレーン設置箇所の選定や現地状況に合わせてベント配置計画の変更を行い令和6年3月に完成しました。

 本路線の開通により、渋滞緩和や定時制・速達性の確保はもとより災害時の代替路としてもその機能が大きく発揮されることが期待されます。

※写真提供:熊本市

橋梁概要

路線名一般県道池上インター線
所在地熊本市西区池上町地内
橋長197.0m
構造形式鋼5径間連続非合成鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大45.1m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

宮ノ尾橋

 一般国道442号は大分県大分市から熊本県小国町を経由し、福岡県大川市に至る北部九州を横断する幹線道路であり、人流・物流を支えるとともに災害時の緊急輸送路としても大きな役割を担う重要な路線です。

 一級河川矢部川水系御側川に架かる「宮ノ尾橋」は昭和13年に架設されてから80年以上が経過し、老朽化が著しいため架け換えを行い、併せて幅員狭小および線形不良の解消を図りました。

 道路線形の改良に伴い架橋位置が旧橋下流側の河川合流部となり橋脚が設置できないこと、S字の平面曲線を設ける必要があることから、新橋は鋼単純鋼床版箱桁橋を採用しました。下部工は逆T式橋台、基礎工は直接基礎としています。また、上部工は河川合流部にベントの設置ができないことから、手延式送出し工法により施工を行いました。

 令和6年8月3日の供用開始により円滑な交通が確保され、地域間の連携強化や観光業・農林業等の地域産業の活性化に寄与することが期待されます。

※写真提供:福岡県

橋梁概要

路線名一般国道442号
所在地福岡県八女市矢部村北矢部
橋長92.0m
構造形式鋼単純鋼床版箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大90.35m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

水俣川橋(P4-A2)

 南九州西回り自動車道は高規格幹線道路網の一環として計画された道路であり、八代市を起点とし、水俣市、出水市、薩摩川内市を経由して鹿児島市に至る延長約142kmの自動車専用道路です。その一部を形成する芦北出水道路は熊本県葦北郡芦北町から鹿児島県出水市へ至る延長約29.6kmの道路であり、熊本県南地域と鹿児島県北地域との連携強化を図り、周辺地域の産業発展と人口の定着による地域活性化に大きく寄与することが期待されています。

 芦北出水道路の水俣ICから袋IC(仮称)間に位置する水俣川橋(P4-A2)(仮称)は、水俣市内を東西に流れる2級河川水俣川及び一般国道268号を横断する橋梁です。そのうちP4-A2間は川幅の広い水俣川を渡河する必要があることから中央径間70mを有するPC3径間連続箱桁橋を採用し、片持架設用移動作業車を用いた場所打ち張出し架設による施工を行っています。

 施工に際しては計画段階よりXR技術を利用した施工手順のシミュレーションを行うことで作業の理解度が深めながら施工性及び安全性の向上を図り、令和5年9月に完成しました。 

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名一般国道3号 芦北出水道路
所在地熊本県水俣市長野町地先
橋長310.0m
構造形式P4-A2 PC3径間連続箱桁橋
A1-P4 PC4径間連結ポストテンションT桁橋(少主桁)
設計荷重B活荷重
支間長最大70.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

黒木原橋

 国道201号八木山バイパス(延長13.3km)は福岡都市圏と筑豊地域を結ぶ主要幹線道路であり、暫定2車線で供用されていますが、本バイパスの前後は4車線区間でこれに挟まれたボトルネック区間となっていることから交通渋滞が発生したり、対面通行のため正面衝突事故が多く発生していました。

 これらを解消するために、平成31年度から直轄道路事業と有料道路事業を組み合わせた整備手法により4車線化事業を進めているところです。現在、篠栗IC~筑穂IC(延長5.7km)間について令和6年度内の完成を目指し、橋梁、トンネルおよび土工区間の舗装や設備等の工事を推進しており、開通後はNEXCO西日本が管理する有料道路として運用が始まります。

 黒木原橋は今回開通区間にある橋長121.9mの橋梁ですが、供用中の上り線に隣接する下り線側の架設工事として120tクローラクレーンにより架設しました。施工箇所のすぐ横を一般車両が通行するなど狭隘な現場であったため、架設した桁上へ仮架台を設置することでクレーンヤードを確保したり、クレーンの転倒防止対策としてリアルタイム傾斜システムなどの新技術を活用したりするなど、安全に配慮した施工に取り組みました。

 上り線の夜間片側交互通行による規制や桁下町道の通行止めなど、地域や道路利用者のご協力をいただきながら、令和5年12月に架設を完了しました。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名一般国道201号 八木山バイパス
所在地福岡県粕屋郡篠栗町篠栗地先
橋長121.9m
構造形式鋼4径間連続非合成鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大31.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第16号発行時(令和7年3月)の情報です。

香椎高架橋

 一般国道3号博多バイパスは、福岡市東部地域の交通混雑の解消及び生活道路の安全性向上、福岡空港や博多駅、博多港などの物流拠点へのアクセス時間の短縮を図り物流活動を支援することを目的としており、平成30年3月に全線供用した道路です。

 香椎高架橋は香椎川、主要地方道福岡東環状線、JR香椎線を跨ぐ橋梁で、平成21年度から下部工に着手し、平成29年度に完成しています。

 近隣には国の重要文化財である仲哀天皇の神霊を祀っている香椎宮があり、本橋が跨ぐ福岡東環状線はその香椎宮の参道であるためクス並木が続く緑豊かな地域となっています。そのため、『PC3径間連結ポステンプレキャストブロック工法中空床版橋』を採用し、桁高を低くして桁下の煩雑さをなくすことにより開放感が感じられるような構造としています。その他に高欄には擬宝珠(ぎぼし)の付いた朱色の鋳鉄製防護柵の採用や、下部工を柱勝(はしらかち)形状とすることで参道の鳥居のイメージ化を図ったりするなど地域の景観に配慮し施工を行っています。

橋梁概要

路線名国道3号(博多バイパス)
所在地福岡県福岡市東区香椎
橋長96.0m
構造形式PC3径間連結ポステンプレキャストブロック工法中空床版橋
設計荷重B活荷重
支間長36.75m

所在地

四十八瀨川橋

 四十八瀬川橋は山口県山口市小郡上郷宇福田村~字一ノ井手上小村を結ぶ橋長125.6mの上路式RC固定アーチ橋であり、山口県の管理道路としては初となる形式です。

 本橋梁は、山口県で事業を進めている地域高規格道路「山口宇部小野田連絡道路」を構成する延長約14kmの主要地方道山口宇部線の一部として建設されたものです。山口宇部小野田連絡道路は、県央部の「山口」と交通の要衝「小郡」と県内産業の集積地「宇部・山陽小野田」を結ぶ自動車専用道路として整備するもので、地域の産業・経済・生活の基盤となる重要な役割を担うものです。

 アーチ部の施工は、架橋地点の谷が比較的浅く橋下からの施工が可能であったことから、ベント併用の合成アーチ巻立工法を採用しました。谷の両側から施工する大規模な工法と比べて小規模の架設設備で済んだことにより、経済的な工法となりました。

橋梁概要

路線名主要地方道 山口宇部線
所在地山口県山口市小郡上郷字福田村~字一ノ井手上小村
橋長125.6m
構造形式上路式RC固定アーチ橋
設計荷重B活荷重
支間長84.0m

所在地

鹿遊大橋

 主要地方道東郷西都線は宮崎県の日向市東郷町を起点とし、木城町を経由して西都市に至る県道で、第一次緊急輸送道路にも指定されています。また、沿線には県内有数の観光地である「西都原古墳群」をはじめ、「日向新しき村」「木城えほんの郷」等があります。 

  鹿遊大橋は東郷西都線戸崎バイパスの一部として整備された橋梁で、1級河川小丸川を渡河し有効幅員7.5mの鋼単純非合成箱桁橋と鋼単純上路式トラス橋、及び起点取付部に鋼製片桟橋の3つの構造で構成された橋長178.5mの橋梁となっています。

 架設は、鋼単純非合成箱桁橋についてはベント併用クローラクレーン架設工法で、鋼単純上路式トラス橋についてはケーブルエレクション直吊り工法により施工しています。

橋梁概要

路線名主要地方道 東郷西都線
所在地宮崎県木城町石河内
橋長41.0m(鋼製片桟道橋)
49.5m(鋼単純非合成箱桁橋)
88.0m(鋼単純上路式トラス橋)
構造形式鋼製片桟道橋 + 鋼単純非合成箱桁橋+
鋼単純上路式トラス橋
設計荷重B活荷重
支間長86.7m

所在地