筑後川橋(仮称)

 有明海沿岸道路は、重要港湾三池港、九州佐賀国際空港などの広域交通拠点と有明海沿岸地域の都市群を連携するとともに、一般国道208号の交通混雑の緩和および交通安全の確保を目的とする地域高規格道路で、福岡県内区間の約8割にあたる23.8kmを暫定2車線で開通しており、令和2年度の大川東IC~大野島IC間(3.7km)開通に向け工事を進めているところです。 

 大川東IC~大野島ICに位置する筑後川橋(仮称)は、1本のアーチリブが支点上で2本に分岐する2連のアーチ橋で日本初の橋梁形式を採用しており、九州最大の河川である筑後川を跨ぐ橋長450m、最大支間長170mの長大橋です。 

 本橋は筑後川の広々とした景観の中に位置し、周辺には地域のシンボルである国指定重要文化財筑後川昇開橋や土木遺産デ・レイケ導流堤などの重要文化財が存在することから、「デ・レイケ導流堤や筑後川昇開橋と共に筑後の水文化を継承する橋」をコンセプトに橋梁の色彩は筑後川の夕日に美しく染まる色彩となるよう「淡い桜色」とし、吊り材は大川市の伝統工芸である「大川組子」を表現したクロス配置を採用しています。

 本橋は令和2年3月末に橋体部分の施工が完了し、開通に向けて舗装等の橋面部の施工を鋭意推進して参ります。

※写真提供:国土交通省 九州地方整備局

橋梁概要

路線名有明海沿岸道路
所在地福岡県大川市小保~大野島
橋長450.0m
構造形式鋼4径間連続(2連)単弦中路アーチ橋
設計荷重B活荷重
支間長最大170.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です

本庄橋

 主要地方道高鍋高岡線は高鍋町を起点とし、西都市、国富町を経由して宮崎市高岡町に至る幹線道路であり、第1次緊急輸送道路に指定される重要路線であります。

 国富町を流れる一級河川本庄川を渡河する旧本庄橋は昭和33年の架橋(橋令62年)であり、主桁の鉄筋露出や桁端部などの劣化が著しく進行していることから架替えを行うこととしました。

 新橋は片持張出架設のPC箱桁であることや5基ある下部工全てにニューマチックケーソン基礎を採用するなど構造的にも難易度が高い工事でしたが、平成26年度から下部工に着手し令和2年9月に供用開始することができました。

 今回の架替えにより耐震化が図られたほか、通学路でもあることから2車線に両側歩道を確保した幅員14.5mとし、旧橋に比べ車道幅が約1.5m広くなったことにより大型車通行の際の安全性も大きく向上しました。

※写真提供:宮崎県

橋梁概要

路線名主要地方道 高鍋高岡線
所在地宮崎県東諸県郡国富町大字本庄
橋長224.0m
構造形式PC4径間連続箱桁
設計荷重B活荷重
支間長55.0m+56.8m+56.2m+53.8m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です。

新砂津大橋

 一般国道199号は、福岡県北九州市門司区を起点として若戸大橋にて洞海湾を渡り、八幡西区に至る北九州市の東西を結ぶ重要な幹線道路です。

 当該路線は約37,000台/日と交通量が多く、北九州市の中心市街地である小倉駅付近において幅員が狭く車線数が減少し、線形とも相まってボトルネックの状態になっており慢性的な渋滞や交通事故が発生していました。

 これらの改善を図り、安全で円滑な交通の確保を目的として平成20年度から小倉北区の浅野二丁目から末広一丁目までの約670m区間においてバイパス化に着手し、令和2年3月に完成・供用開始しました。

 新砂津大橋は本バイパス区間に流れる2級河川砂津川を渡河する新設橋梁で、橋長は70.2m、上部工は2径間連続鋼床版鈑桁であり、トラッククレーンによる架設工法を採用しました。

※写真提供:北九州市

橋梁概要

路線名一般国道199号(砂津バイパス)
所在地福岡県北九州市小倉北区浅野二丁目
橋長70.2m
構造形式2径間連続鋼床版鈑桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大37.2m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です。

日見夢大橋(Ⅱ期線)

 NEXCO西日本では、E34長崎自動車道 長崎多良見IC~長崎IC間11.3kmの四車線化事業を行っています。四車線化事業は、供用中の暫定2車線から完成四車線へ拡幅する事業です。この整備により、安全性・走行性の向上、災害時の代替機能の強化など地域の発展に貢献すると期待されます。長崎多良見IC~長崎芒塚IC間の8.3kmについては令和元年6月28日に四車線化運用を開始しています。

 長崎多良見IC~長崎芒塚IC間に位置する日見夢大橋は、橋長373.5mのPC3径間連続波型鋼板ウェブエクストラドーズド橋です。国内において、波形鋼板ウェブとエクストラドーズドを組み合わせたPC橋梁は本橋を含めて6橋しかなく、景観に配慮した非常に珍しい橋梁です。 
  
 本橋は特殊橋梁かつⅠ期線との並列橋であるため風の影響に対する安全性を検討する必要があり、大型模型を用いた風洞実験を行い、安全性を確認し工事を進めました。

 また、施工においては隣接する中尾トンネル工事と施工ヤードが競合していたことから綿密に調整を行い、工程に支障を及ぼすことなく施工を完了しました。

 安全面においても国道34号及び県道116号の上空にて張出架設を行う際、夜間作業に切替え、張出時に一般道の一時通行止め規制を行うことで第三者への安全確保に尽力しました。

※写真提供:西日本高速道路(株)

橋梁概要

路線名E34 長崎自動車道
所在地長崎県長崎市芒塚町
橋長373.5m
構造形式PC3径間連続波型鋼板ウェブエクストラドーズド橋
設計荷重B活荷重
支間長最大182m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第12号発行時(令和3年3月)の情報です。

岩下橋

 一般国道219号は熊本県熊本市を起点とし、熊本県人吉市、宮崎県西米良村、西都市を経由し宮崎市に至る約170kmの幹線道路であり、第1次緊急輸送道路にも指定され沿線市町村の産業経済活動を支える重要な路線となっております。

 岩下工区は、九州中央山地の急峻な山間を流れる二級河川一ツ瀬川沿いに位置することから線形が悪く幅員も狭い区間となっており、異常気象時には災害による交通途絶が発生する等していました。このため宮崎県では平成27年度から岩下橋を含む延長1.0kmのバイパス整備を進めているところです。

 岩下橋は平成29年度から下部工に着手し、令和2年6月に供用開始しました。本橋梁の架設箇所は狭隘な谷間で桁下空間が利用できなかったため、「ケーブルエレクション直吊り工法」を採用しました。しかし、橋台背面に現道が近接しており限られた狭いヤードに鉄塔及びそれを支えるグランドアンカーを設置しなければならず、さらに現道交通への影響を必要最小限に抑えなければならないという厳しい条件での施工となりましたが、請負業者の創意工夫を持って安全で効率的な架設を行うことができました。

 今回の開通により幅員狭小や線形不良、災害等の危険性を解消し、緊急輸送道路としての機能向上を図るとともに安全安心な交通の確保に大きく寄与するものと期待されます。

※写真提供:宮崎県

橋梁概要

路線名一般国道219号
所在地宮崎県西都市大字中尾
橋長84.0m
構造形式鋼上路式単純トラス橋
設計荷重B活荷重
支間長82.3m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

山田IC Aランプ橋(仮称)

 主要地方道指宿鹿児島インター線(通称:指宿スカイライン)は、九州縦貫自動車道や南九州西回り自動車道と連結し、広域ネットワークを形成するとともに鹿児島市街地の外郭環状道路としての機能を有する重要な路線です。

 山田ICは従来ハーフインターチェンジであったため、路線の利便性向上や周辺道路の渋滞緩和を目的に平成28年度よりフルインター化事業に着手しており、Aランプ橋は供用中の本線(4車線)を跨ぐ橋として計画いたしました。

 本橋はランプ周辺の地形的な制約から橋長が短くS字橋であり、拡幅を行っていることから主桁間隔、縦桁本数が変化する複雑な構造となっています。

 また、架設にあたっては一日約2万台を超える交通量の本線上での施工であることから、交通への影響を最小限にとどめるため1夜間の全面通行止めによる多軸式特殊台車一括架設を採用しました。

 今回のフルインター化より指宿スカイラインの利便性が向上し、沿線の観光・産業振興に大きく寄与することが期待されています。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名主要地方道 指宿鹿児島インター線
所在地鹿児島県鹿児島市山田町地内
橋長39.0m
構造形式鋼単純非合成箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大37.8m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

億首川橋

 NEXCO西日本が管理する高速道路橋のうち約4割が供用から30年を超えており、老朽化に伴う変状が顕著になっています。そうした中で高速道路橋の健全性を永続的に確保し、高速道路のネットワークの機能を将来にわたり維持していくには抜本的な対策が必要となっています。

 その抜本的な対策の大きな柱として、『高速道路リニューアルプロジェクト』を実施しています。高速道路リニューアルプロジェクトとは、これまでの補修方法では十分に高速道路の機能を回復できない変状に対して大規模な更新工事等を行うものです。

 億首川橋においては、高速道路リニューアルプロジェクトの一環として2007年から床版取替(SCBR工法によるRC中空床版のPC桁への取替含む)を実施しており、2021年4月に橋梁全体(RC中空床版橋、鋼非合成鈑桁橋、鋼トラス橋)の床版取替が完了しました。

 床版取替工事中は上り線(下り線)の2車線を1車線に縮小し、下り線側(上り線側)にシフトさせた昼夜連続対面通行規制を行うことから規制区間における安全対策を強化し、お客様への安全・安心な走行確保に尽力しました。

※写真提供:西日本高速道路(株)

橋梁概要

路線名E58 沖縄自動車道
所在地沖縄県国頭郡金武町
橋長533.3m
構造形式PC(3+6)径間連結中空床版+鋼2径間連続非合成桁+鋼3径間連続トラス桁
設計荷重B活荷重
支間長最大120.4m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

荒津大橋

 荒津大橋は、福岡市中央区の那の津三丁目と荒津一丁目の間の博多漁港に架かる斜張橋です。1987年(昭和62年)に完成し、1988年(昭和63年)10月に開通しました。

 福岡市のランドマークのような存在となっており、多くの人の目を楽しませています。1989年(平成元年)には第3回福岡都市景観賞を受賞しました。

 断面交通量は約5.1万台/日(年間18,606,189台、2020年度実績)であり、九州・福岡都市圏の交通や物流にとって重要な役割を果たしており、欠かせない存在となっています。

 しかし、そのような荒津大橋も建設から34年が経過していることに加え、絶え間なく吹き付ける潮風の影響で鋼製構造物には徐々にさびが発生し、劣化が進行しています。このような環境の中、福岡北九州高速道路公社では道路法が2016年に定期点検(1回/5年)を義務づける前から独自に要領を定め、点検を行ってきました。ケーブルは内部の状況まで把握できるカメラ付きの自走点検装置を使用し、主塔はロープを使って作業員が目視点検しています。

 このような過酷な状況下における点検によって重大な欠陥が生じる前に損傷を発見し、早期に補修することで利用者の方が安全で安心して通行できるように日々の維持管理に努めています。

※写真提供:福岡北九州高速道路公社

橋梁概要

路線名福岡高速 1号線
所在地福岡市中央区の那の津三丁目~荒津一丁目
橋長345.0m
構造形式3径間連続斜張橋
設計荷重B活荷重
支間長最大185.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第13号発行時(令和4年3月)の情報です。

神代橋

 主要地方道久留米筑紫野線は久留米市の国道322号を起点とし、筑紫野市の一般県道福岡日田線に至る延長約22kmの路線で、筑紫野市から古賀市を結ぶ主要地方道筑紫野古賀線と一体となって久留米市と福岡都市圏を結ぶ幹線道路です。

 本路線のうち、一級河川筑後川に架かる『神代橋』は旧橋が昭和15年に架設された老朽橋で幅員が狭く、特に大型車の通行に支障をきたしていることから、交通渋滞の緩和や安全性の向上を目的として本橋梁の架換を含む延長2.0kmのバイパス整備を行い、平成30年3月に開通しました。

 本橋梁は橋長390.2mの5径間連続PC箱桁橋で、上部工は片持ち架設工法により架設を行いました。本橋梁は河川内での施工となる厳しい施工条件の中、関係機関と協議を行いながら請負業者の創意工夫により出水期中の施工も可能とすることで効率的な架設を行うことができました。

 また、親柱のデザインについては久留米市の歴史・文化をイメージしたデザインとしています。歴史については神代橋の由来となっている「神代浮橋」の逸話をモチーフに筑後川の流れを表現しました。文化については左岸側の親柱には久留米絣の文様やクルメツツジを彫り込んで親しみのある地域性を表現し、右岸側の親柱には春の到来を告げる梅の花や実りの秋に豊かに咲き誇るコスモスを筑後川の雄大な流れの文様に表現しました。

※写真提供:福岡県

橋梁概要

路線名主要地方道 久留米筑紫野線
所在地福岡県久留米市山川神代~久留米市北野町
橋長390.2m
構造形式5径間連続PC箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大88.0m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第14号発行時(令和5年3月)の情報です。

平松城橋

 平松城橋は、都城志布志道路の事業区間(末吉道路)で整備した橋長114.5mの鋼単純鋼床版箱桁橋です。

 都城志布志道路は宮崎県都城市と鹿児島県志布志市を結ぶ約44kmの地域高規格道路で、九州縦貫道都城ICと重要港湾志布志港を直結して物流の効率化を図るとともに、広域交通ネットワークによる地域間交流・連携の促進等を目的として整備しています。鹿児島県内の区間約22kmのうち約12kmの区間は既に供用しており、現在残りの区間の整備を進めているところです。

 平松城橋は一級河川大淀川を横断する曲線橋で、下部工の位置に制約があったことから単純鋼箱桁橋を採用しました。支間長112.3mは単純箱桁橋としては国内最長級となります。工事はクローラクレーンベント工法により工場で製作した桁を分割して運搬し、最大550t吊のクローラクレーンを2基用いて架設作業をおこない、令和元年9月に完成したところです。

今後も残りの工事を進め、一日も早い全線供用を目指します。

※写真提供:鹿児島県

橋梁概要

路線名都城志布志道路
所在地鹿児島県曽於市末吉町南之郷地内
橋長114.5m
構造形式鋼単純鋼床版箱桁橋
設計荷重B活荷重
支間長最大112.3m

所在地

※九州橋梁・構造工学研究会会報 第11号発行時(平成31年3月)の情報です。